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「話してダメなら書いてみな」モノカキを目指した吃音ライター

モノカキ人生3か月、よちよちライターの大路ゆみえです。

突然ですが・・・
「あ、あ、ありがとうございます」「お、お、お疲れ様です」
と吃って言葉がなめらかに話せない人、あなたのまわりにいませんか?

「普通にしゃべれよ」「落ち着いてしゃべれよ」なんて、思ったことありませんか?

言いたくなる気持ちはよーくわかります。
でも、ちょっと待って。その言葉を飲み込んでもらえますか?

それ、「吃音」(きつおん)と言います。簡単に言えば、言葉がうまく話せないのです。

「なんだそんなこと」と侮るなかれ。
「吃音」を苦にして自殺を図る人もおられます。

普通に問題なく言葉を話せる人の、「何気ない一言」で吃音者は苦しみます。
私も子供のころから苦しんできた一人です。

この記事でちょっとでも吃音と、その苦労についてわかってもらえたらと思います。

 

目次

吃音て何?

吃音とは、なめらかに話すことができない状態になる障がいです。話すときに音や語の一部を繰り返したり、引き伸ばしたり、言葉が詰まるというのが主な症状です。発達障害者支援法における支援の対象に含まれています。

子供のころによく発症しますが、成長過程を経て大人になっても吃音症状が続くケースがあります。

また、大人になってから吃音を発症するケースもあります。

「自分だけの場所なら流暢に話せるのに、なんで人前になると吃るんや!」と日々、吃音者は悩んでいます。

私も子供の頃から毎日悩んでいるのです。

 

吃音の苦労 私の場合

 

(違う意味で)学級崩壊を望んでいた日々

 

私の吃音デビューは小学3年生あたりから。

まったくもって嬉しくないデビューです。

 

葉が話しづらいって、かなり毎日苦痛ですよ。
授業なんか毎日人前で言葉を口から出すのですよ。

国語の授業なんか地獄でした。

内容は忘れたけど、「南メソポタミア」が言えなくて、朗読中に先生に怒られて家で泣きました。

 

英語の授業でも数学の授業でも、座席順に回答を発表したり、その日の日付にちなんだ番号で回答の発表が回ってきたり。

いつも「地震が来て教室が壊れて、びっくりした拍子に先生が回答の順番忘れないかな?」と淡くて愚かな願望を抱く日々を送った学生時代でした。

 

中華料理屋のバイトで「レタス包み」が言えない!

高校生になると、アルバイトをする人がまわりに増えてきますね。
私が高校生の時にしたアルバイトは中華料理屋のウェイトレス。

吃音はありましたが、なんとか騙し騙し仕事をこなしていました。

でも、人気メニューの「レタス包み」が言えない!

「なんで、みんなレタス包みなんか食べたいんや。こんなメニューなくならへんかな」と思っていました。

当時のオーダーの通し方というのは、今みたいに機械でピピっとデータを飛ばせるものではなく、口頭でキッチンでオーダーを読み上げるというやり方。

うまく言えなくて、お店の社員さんやバイトの先輩に、厳しく注意されていました。

そういう失敗が心の中で積み重なって、私の吃音症状はどんどん悪化していったのです。

 

吃音の原因と毒親と前世の業

 

医学的な原因の説明

 

体質的(遺伝的)要因、発達的要因、環境要因などがあるとされていますが、まだ確定的な研究結果はでていません。

これは、また違う機会に詳しくご説明したいと思います。

 

毒親による吃音の説明

私の両親はある宗教の熱心な信者です。

日本国憲法で信教の自由は認められています。でも、宗教を親に押し付けられた子供の心境は、かなり不自由としか言いようがない。

両親、特に母親がその宗教を信ずることによって得られた知識と思想では、「あんたの吃音は前世の業や。この信心をすることで治るはずや」という風になり、「親の言うことは絶対」と幼少の頃からしつけられていた私は、素直に信仰に励みました。

 

頑張ってもよくならないと怒る私への、母親のコメントは以下のとおり。

「あんたは自分のことだけを考えて信心してるからあかんのや。信心というのは布教をしないと意味がないんや」

 

毒親により思考を支配されていた私は、まじめに布教にも励みました。

 

通常の親であれば、小さい子供に吃音症状がでると、病院に連れて行ったり、治療方法を探したりすると思われますが、うちの両親にとっては、医学の力に頼るのではなく、信仰をすることが一番の治療方法だという確信があったのです。

 

でも、大人になって(30歳を過ぎたころ)、それは間違いだと私はようやく気づきました。

時すでに遅しで、吃音は完全に私の中で治るどころか「あって当たり前」のものになっていました。両親が私が子供のころに病院に連れて行ってくれていたら、少しは変わっていたのでしょうか。

毒親についても、また別の機会に書かせていただきます。

 

吃音と障がい者手帳

吃音があると職業選びが大変

仕事をしているとどうしても、職場の仲間とのコミュニケーションが必要です。かかってきた電話はとらないといけないし、朝礼の朝礼当番では司会をしないといけません。

絶対人と話す機会があります。

「誰とも話したくないなら、工場の流れ作業とかをすればいいのでは?」と思われる人もおられるでしょう。

工場の流れ作業もやりましたよ。でもね、業務の中で、掛け声を出さないといけないこともあるのです。工場の流れ作業は危険が伴うので、意外とコミュニケーション能力が必要なのです。

 

電話応対などができないので、障がい者雇用を狙ってみた

 ネットで調べて、「吃音は発達障がいだから、障がい者手帳がもらえる」という情報を得たので、障がい者手帳をもらって障がい者枠で働きたいと思い、障がい者手帳ゲットに向けてスピーディに行動。

こういうのは仕事が早い私。

でも、吃音で発達障がいとして障がい者手帳がもらえるということを知っている病院が少ないことにびっくり!

 

その時通っていた吃音治療の病院で障がい者手帳申請用の診断書を依頼しても、誰もその方法を知らないのです。

「うちでは診断書は書けません」と言われてしまいました。

他にも病院を当たりましたが、同じような反応しか返ってきませんでした。

 

確かに、吃音以外は特に異常がないので、吃音のみについて発達障がいとして診断書を書くのは難しいのは理解できます。

まわりからのアドバイスもあり、障がい者枠で働くというのは諦めることに。

諦めるのも早いのです。

悩んでいる時間がもったいない。

 

吃音とライティング

 

私は昼間は保険会社で事務の仕事をしています。勤続13年になります。

派遣社員から入って、はじめは電話応対のない業務についていましたが、派遣社員から正規の職員となり、電話応対や様々なコミュニケーション能力が必要とされるようになりました。

そんななか、障がい者手帳をもらって、今の役割から逃げようとしていたのです。

 

でも、考え方を変えて、素直に自分は吃音だから、電話応対の少ない業務につかせてほしい、と上司に相談してみたところ、希望が通って、ほんの少しだけど電話応対の負担の少ない仕事をやらせてもらっています。

少しわかったことは、ある程度自分の弱みをカミングアウトして、周りに理解してもらう方が自分にとって結果的に、心身ともに楽だということです。

今までは、吃音がみんなにばれると恥ずかしい、と隠す方向で考えていましたが、自分からカミングアウトしてしまえば、「そんなもんなんだな」と思われるだけで済むかもしれません。

そして、自分の得意なところで能力を発揮すればいい。

 

私は話すことは苦手だけれども、書くことで何か人に影響を与えられるかもしれないと、今日もこうやってモノカキとして、拙い文章を書いています。

 

もし、あなたのまわりで吃音で悩んでいる人がいたら、何もしなくていいので、優しく接してほしいです。

そして、現在進行形で吃音で苦しんでいる方は、自分なりの吃音との向き合い方を決めて、少しでも毎日の負担を減らしてほしいと思っています。

 

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