発達障害ライターが聞いてみた!当事者の生き方の指針となる「ステージ論」を考案した男たちの想い

発達障害ライターが聞いてみた!当事者の生き方の指針となる「ステージ論」を考案した男たちの想い

どーも、スンダヴです。現在転職中ですが、求人が事務職に偏ってるのが悩みです。

今回は、「発達障害×生き方」企画はじめての2人同時インタビュー!

ツイッターで活動する、発達障害当事者みやさん@gallo38AB蔵さん@ABZFin_ADDが考案した「ステージ論」について話を伺いました。

両者のお話を聞くことで、発達障害当事者の今後の生き方のヒントが見えてきました。

みやさん@gallo38(写真右側)とAB蔵さん@ABZFin_ADD(写真左側)

 

2人の当事者男性が抱える「生きづらさ」

 

–まず、お2人の経歴を簡単に教えてください

 

みやさん
昔から忘れ物やミスが多く、部屋がいつもぐちゃぐちゃでした。学生時代は弁護士になりたくて理系大学院を中退しましたが、なかなかうまくいかず、フリーター、引きこもり、ニート、派遣社員と職を転々とすることに。最終的には、営業職の社員として就職し今16年目です。

7年前、統合失調症の親の会の方と話す機会がありました。その方の影響で本を読み漁るうちに、自分はADHDであると確信するようになったのです。

しかし、精神病院は薬づけにされる怖い場所だと思っており、仕事も順調だったので通院することはありませんでした。

しかし、数年前に昇進し部下を持つようになってからミスが相次ぐように。最終的にうつ病になり、病院で診断を受け障害者手帳を取得し、役職も降格しました。

 

AB蔵さん
社会人になって銀行に4年務めた後、外資系の金融機関に転職したのですが、適応障害になってしまい3ヶ月で退職しました。

その後、銀行のグループ会社の営業をしていたんですが、「自分は同じような場面でミスを繰り返していること」に気づいたんです。

金額を書く欄に口座番号を書いてしまうなど、普通なら考えられないようなミスも経験しました。それをきっかけに、自分が発達障害ではないかと疑ったんです。診断結果はみやさんと同じくADHDとアスペルガーでした。

現職ではダイバーシティ経営を推進しているという背景もあり、、上司にカミングアウトしてみました。しかし、自身の特性への理解が浅かったので、上司に理解してもらえるように上手く説明することが出来ず、上手くいきませんでした。

 

発達障害当事者が知るべき「ステージ論」とは

–ステージ論の概要について簡単に教えてください。

みやさん
発達障害当事者を、障害受容度や精神状態によって4つのステージに分類したのが「ステージ論」です。各ステージの特徴は、以下のようになっています。


ステージ1:自身が発達障害当事者であることに気づいていない状態 否定

ステージ2:自身が発達障害であることに気づいたが、それを受け入れられない状態 認知

ステージ3:自身が発達障害であることを、前向きに受容した状態 受容

ステージ4:周りの評価と、自分の考えを分けた思考が出来ている状態 自他分離


AB蔵さん
基本的には、
「当事者やその周辺の方々がご自身の状況を冷静にとらえて、よりよい人生を歩むための考え方」です。僕やみやさんは現在ステージ3にいると考えており、ステージ4へと上がる方法を試行錯誤しています。

 

–どのように「ステージ論」を考案されましたか?

 

みやさん
きっかけは、ツイッターでの「発達障害当事者ってなんでこんな争うんやろ?」というツイートでした。発達障害当事者って、ネット上では争いが絶えないんですよ。この前も「発達障害当事者は治るか治らないか」で喧嘩をしていました。

なぜ争うか?を自分なりに考えた結果、「障害に対するとらえ方が違う人同士で議論しているから」ということが分かり、「ステージ論」の原型が生まれたのです。最初は「クラスタ論」と呼ばれていました。

 

AB蔵さん
みやさんとはその頃知り合いました。

僕のツイートに興味を持ってくれて、自助会で会ったり飲みに行くうちに仲良くなったんです。「クラスタ論」をお聞きした時、「この理論は当事者自身の状況を区別するものというよりは、当事者が成長していくプロセスのようなものだ」と解釈したので、「ステージ論」という名前をつけました。

 

–「ステージ論」を通して、どのようなことを実現したいですか?

 

みやさん
「ステージ論」を認知してもらい、
「発達障害当事者同士、争う必要はないんだよ」と伝えていきたいです。ネット上で争いが絶えないのは、各々のステージが違うからと感じています。

ツイッターでアンケートを取ると、半数以上の方が障害を受容できずに苦しむステージ2に属していました。そういう方々に「障害は個性」「成功している人もいる」のような上から目線でメッセージを伝えるのはよくないんです。

ステージが上がると、障害を受容できない当事者に対してつい厳しい言葉をかけてしまう方もいます。「自分は克服できたからみんなもそうなってほしい」という思いがあるのはわかりますが、発達障害界隈の分断を促進してしまう恐れもあります。

障害や生きづらさを克服したと感じる人ほど謙虚になり、ステージの違いを考慮しながら、優しい言葉をかけあう必要があると感じます。

 

AB蔵さん
少し棘があるかもしれませんが、
「当事者が成長して何かしらの結果を残す」という考え方も普及させたいです。

発達障害の当事者が理解や支援を求めても、なかなか社会には受け入れられないのが現状です。

それは、社会が発達障害に対して理解が浅いという社会側の問題もありますが、「当事者自身が自身の特性を言葉で伝えられない」という当事者側の問題もあります。

「△△は不得意なので△△というフォローが欲しい。しかし、○○が得意なのでそこで頑張ります!」と説明出来れば、その説明を聞く側の感じ方もかなりポジティブに変わってくるはずです。

だから、みやさんの考えた「ステージ論」で自己理解を深め、自分をどうやって変えるか考える流れを作りたいです。僕自身も、自分のステージを上げるため努力します。

 

「ステージ論」における、発達障害当事者のステージの上げ方とは

 

–「ステージ論」についてお伺いしてきましたが、「当事者がどのようにステージを上げていくのか」が重要だと感じました。何かお考えはありますか?

 

みやさん
では、ステージごとに考えていきましょう。ステージ1から2に上がる方法ですが、ま
ずは「治る・治らない論」にとらわれないことですね。自身の特性を冷静に考え、医療機関に診断してもらうのが第一歩です。

 

AB蔵さん
ステージ1にいる当事者やその両親・親族が、「うちの家系から発達障害者が出るわけがない」といい、障害受容ができていない場合もあります。

そこで重要なのは、「周囲の無理解から来るデメリットや生きづらさを変えていく、その第一歩として診断を受ける」という考え方です。

僕もみやさんも障害者手帳を取得する段階まで行きましたが、便利なツールとして使ってもいいし、職場で公示する義務はないのでお守りとして持っておくだけでもいい。

 

みやさん
「自分の身を守るために診断受けたらええやん、手帳持っといたらええやん」という考え方ですね。

ステージが1や2の場合、自己肯定感が低く自己分析も進んでいない状態なので、障害の開示がうまくいかない場合があります。

僕自身、自己肯定感が低い状態でカミングアウトしていたころは、「言い訳やめろ」「みんなそういうところあるよ」と手痛いしっぺ返しを食らっていました。

そのような状態から脱するためにも、診断を受ける事は重要です。上手にカミングアウトできるようになれば、とても生きやすくなります。

周辺の無理解がありデメリットはありますが、それがなくなるように世の中に変えていく。むしろ「発達障害者は非発達障害者に比べ尖ってて面白い」と言えるような世の中になるよう、一緒に連携しましょう。まとめるとこうなります。

 

ステージ2へステップアップする方法


1「治る・治らない」論に囚われない

2 医療機関でまずは診断を受ける


 

–ステージ2の方が半分以上を占めるということなので、ステージ2から3に上がるのも重要ですね。

 

みやさん
2から3にレベルアップするには、
経験と自分の特性の理解が重要です。僕自身、パワハラや減給などつらい経験もたくさんありましたが、それに耐えながら発達障害の勉強を続けた結果、自分の過去の様々な失敗が脳の特性によるものであると深く腹落ちしました。

すると、じゃあどうやってこの特性と付き合っていこうか?という思考に変わってきて、自然とステージ3に上がることができました。

 

AB蔵さん
私も同じです。
ただ、経験を積んでいる最中はとても苦しい事は間違いないです。「そこを努力で乗り切ろう!」と言うつもりは全くありませんし、潰れてしまっては元も子もない。だったら、

・自助会で困り事を聞いてもらう
・ストレスとなる人間関係を避ける
・転勤、転部、転職(障害者雇用等への移行を含む)ができる方法を考える

という現実的な手段を実行していくのがベストだと思います。

 

みやさん
ただ、環境をなかなか変えられない方もいます。両親から悪影響を受けている当事者が、なかなか親の実家から抜け出せないという例もありますからね。
「安心できる環境に身を置いて次のステージを目指そうよ」と呼びかけていきたいです。

AB蔵さん
マインドを変えていくときは、
過去の経験から掘り下げていくとうまくいくと思います。過去のエピソードを思い返し、「あの時の行動は発達障害の特性ではなかったか」と一

つ一つ掘り下げていくこてことで、自分な好きなこと・苦手なこと・やりたいこと・やりたくないことが見えてくるのです

また、精神的ストレスの強い状態だとここまでお話ししてきた事を思考する事は難しいです。ストレスを和らげて脳を働かせるには、身体の健康を整える必要があります。

例えば、糖質制限やグルテンフリーにより発達障害の症状が改善された事例は数多くあり、これは吉濱ツトムさんや岩本友規さんなどの著書でも述べられています。身体を整える事で、ステージを上がる土台作りは確実にできます。

 

ステージ3へステップアップする方法


1.心身の健康を整える

2.過去の経験を掘り下げ、自己分析をする

3.自己分析の結果を元に、自身が安定していられる環境に身を移す

4.安定した環境で知識と経験をつみ、レベルアップを目指す



–具体的にまとまりましたね!ステージ4はまだお二人も到達していないとお聞きしましたが、レベルアップするための方法は考えがあるのですか?

 

みやさん
ステージ4は、「自他分離」が出来ている状態のことです。これができると、他人の言動に振り回されないストレスフリーな状態になれると考えています。
具体的には、「他人が言ってる言葉はあくまで他人の考えなので、自分の考えとは違う」と認識できることです。

 

AB蔵さん
自他分離の境地に至るには、他人の考えを理解する事も必要ですが、
自分自身の考えを客観的に捉える能力(いわゆるメタ認知)を育てることが最も重要なのではないか?と考えています。

この能力を育てるには色々な方法があります。例えば、私は営業の仕事をしているのですが、自分の商談を録音して後で聞き返しています。

すると上手く話せたと思った商談でも無意識的に変な伝え方をしていたり、そもそも話し方のクセが気になって内容が頭に入ってこない時があります。これを認識するだけでもかなり改善できます。

また、最近私は読書をかなりするようになったのですが、読書で得た知識が物事を考える材料になると強く感じています。

 

ステージ4へステップアップする方法


1.自分自身の考えを客観的に捉える能力(メタ認知)を育てる

2.読書から知識を得る


–最後に、一言お願いします。

 

みやさん
発達障害は特性です。僕は43年間、なんて自分はダメな人間なんだと自分の事が大嫌いでした。でも、今は全く違います。

「ダメな自分の原因が、努力不足ではなく、脳の特性だったんだ。原因もわからず、43年間必死でもがき苦しんで、頑張ってきたんだな」と考え、辛くしんどい人生を送ってきた自分の事が大好きになりました。

ステージ2にいる方は、恐らく「なんで自分はこんなにダメなんだ。社会はこんなに発達障害の事を理解してくれないんだ」と思っている方が多いと思います。僕も1年前まではそうでした。

でも、そんな僕でもこれだけ変わることが出来ました。

変化は誰にとっても怖いこと。勇気がいるからです。ぼくは絶望してプライドを捨てたからこそ、180度変わることが出来ました。

1年前の自分からは想像がつきません。こんなおっさんでも変われました。一歩を踏み出す勇気を!

 

AB蔵さん
私自身、ステージを上がることが出来ず苦しんだ時期がありました。しかし、少しづつ一歩を踏み出すことで「人は成長できる」と感じています。

「なかなか一歩を踏み出せない・・・」と言う方には、「知識は勇気を補完する」という考え方がお勧めです。知識を持てば、勇気が無くても経験を積んで成長することができます。

自分が行動した後に何が起こるかを予測して、事前に対策を打つことができるからです。

対策を打てば未来に対する恐怖や不安は軽減され、勇気がなくても行動して成長することができるます。

共に行動して、成長していきましょう!

 

みやさんTwitterアカウント:@gallo38

AB蔵さんTwitterアカウント:@ABZFin_ADD

 

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スンダヴ

スンダヴ

独立してフリーライターになるべく活動している会社員。旅行からビジネスコンテンツ、自身の経験を生かした記事をまで幅広く執筆中。