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好きな作家は誰ですか? 昭和生まれライターの、平成初期の読書体験覚え書き

WEBライターの本田もみじです。

最近、めっきり本を読むことが減りました。

WEB上で書く仕事をしている以上、WEBの文章にとことん親しもうと決めているので、隙間時間もずっとスマホを触っています。

しかし、新聞社にいたわけでもなく、国語の文法もややあやしい私が、なんとかライターとして生きていけているのは、かつて読んだ膨大な小説のおかげだ…と思っています。

私は1976年(昭和51年)生まれです。大学入学の年にちょうど周囲がノートPCを持ち始めましたが、文学部史学科にいた私にはまったく不要なものでした。

なんせ、扱うものは中国の経典。かび臭い図書館には、触ったら煙になって消えそうな古文書もたくさんありました。さらに卒論も手書き!

そんな環境ですから、「PC・ネットに親しむ」なんてはるか遠い世界の話で、実際たいした興味もなかったのです。

(今の私がWEBの仕事をしていることは、大学時代の友人にはいつも驚かれます)

では、WEBのなかった時代…思春期の私はどのような本を読んでいたのでしょう。

この記事は、もうすぐ平成最後の月に入ろうとする今、私が自分のために書く「昭和後期〜平成初期の読書覚え書き」のようなものです。

もしあなたが「私も読んだ」「懐かしい」と思ってくださったなら。
黄ばんだ文庫本を取り出してみてください。きっと昭和と平成の香りがしますよ。

目次

小学生

あまり絵本にはまった記憶はありません。
とにかく、大人っぽい本が読みたくてたまりませんでした。

学級文庫、図書館

作者不明「インカ帝国のなぞ」
私の心にズガーンと響いた1冊です。インカ帝国、アステカ文明、ペルー、マチュピチュというワードにときめきまくり、世界ふしぎ発見を見るため、土曜日は目をギンギンにしていた子どもでした。

角野栄子「魔女の宅急便」
小5のときに図書館で借りて、ワクワクしながら何度も何度も読みました。このお話が宮崎駿監督によってアニメ化されたのは、私が中1のとき。おこずかいを握りしめて、はじめてひとりで映画館
に行った作品です。

買ってもらった本

コナン・ドイル「恐竜の世界」
雑誌小学1年生の広告で見つけ、父親に購入を迫りました。コナン・ドイルにはまるキッカケでもあり、当時は「大きくなったら化石を探す人になる」と真剣に夢見ていました。

「少年少女世界の名作文学 全50巻」※歯抜け
これまた父親が、古本屋で買ったのか、誰かからもらったのか…歯抜けで半分ほどしかありませんでしたが、この全集は私の読書体験に大きな影響を与えました。怪傑ゾロとは結婚しようと思っていましたし、秘密の花園、三銃士、海底二万里、八十日間世界一周、十五少年漂流記、なにせ冒険ものが好きでした。

エドガー・アラン・ポーのこがね虫、盗まれた手紙で、ミステリの面白さに触れました。

ルスランとリュドミーラ、せむしの子馬、隊長ブーリバなどで、ロシア文学に漂うリアルさとファンタジーの同居したヒンヤリ感を知り、絵のない絵本、即興詩人、ひなたが丘の少女などの北欧文学からは、自然と同居しつつ暖かさに憧れる白夜の国の研ぎ澄まされた美しさを知りました。

(今ネットで調べると、この全集…「川端康成監修」だったんだ…)

ボードレール「悪の華」
買ってもらった…というよりは、祖父母の家の本棚にあり、なぜか気になって、わけもわからないのに読んだ詩集です。風鈴が鳴る縁側で、大人に隠れて読んでいた…という記憶がよみがえります。

買った本

小学校高学年になると、おこずかいのほとんどが本に消えていきます。マンガも好きだったので、250万乙女のバイブル・りぼんもしくはコバルト文庫に、まさに全身全霊をかけて課金しまくっていた少女でした。ひまがあると古本屋に行き、舐めるように本棚を眺めては、「全部ほしい」とため息をついていました。

(りぼんの話は別記事で書きたいですね)

藤本ひとみ「マンガ家マリナシリーズ」
ボロボロに黄ばんだ文庫本が今も手元にあります。小学生の私に「愛ってなんだろう」ということを容赦なく突き付けてきた作品です。今でも、愛情関連で悩んだときは「シャルルならどうするだろう」「薫ならどういう結論を出すだろう」と考えるほど、私の愛情観に影響を与えています。

新井素子「星へ行く船シリーズ」その他
コバルト文庫に限らず、1900年代に出た新井素子の本は、恐らくすべて持っています。新刊が出るたび、歯ぎしりするほど没頭しました。SFにはまるキッカケでもありました。

藤川桂介「宇宙皇子シリーズ」
今手元には地上編しかありませんが、小6でどはまりしました。のち関西に住むようになり、葛城山、金剛山、当麻村…舞台となった地に立ったとき、ちびりそうなくらい感動したのを覚えています。

中学生・高校生

中高時代は、年間200冊を目標に本を読んでいました。買った・借りた本はすべて記録し、☆を付けて書評を書いていたので、今と比べると相当数の本を読んでいたと思います。

そして当時買った本のほとんどは、今も本棚に残っています。そう考えると、私の読書体験は中高時代をピークとして、刷新されていないようです。しかし何にせよ、思春期の、感受性マックスだった時期に本を読みまくれたのは、幸せなことだと思っています。

村上春樹
「ノルウェイの森」が話題になった時期に、母親が図書館から借りてきました。母親の不在時にこっそり読んだその瞬間から、今日まで、私はハルキストです。

筒井康隆
新潮文庫の赤い背表紙、大好きです。小松左京にも星新一にもはまらず筒井康隆なのは、あのブラックな感じがたまらないから。

椎名誠
SFの流れからたどり着いたシーナさん。恋焦がれ、何度もサイン会に足を運びました。あやしい探検隊、新宿赤マント、そしてSF三部作。抱きしめて眠れる大好きな本たちです。

夢枕獏
これまた好きすぎてたまりません。のちにヒマラヤ方面に数度行く機会がありましたが、そのたび数冊の「獏本」をザックに放り込み、カトマンズの安宿で読みふけっていました。

酒見賢一
「ファンタジーノベル大賞」の第1回受賞作「後宮小説」が、私の進路を決めました。この著者に出会わなければ中国仏教史の道に進んでいません。語り尽くせない思い出がある1冊です。

山田詠美
もう好きすぎて!「トラッシュ」とか今読んでも泣く。えーみさんに読んで欲しくて、頑張って小説を書きあげて文藝賞に応募したら、綿谷りさに受賞されて悔しかった思い出…。

吉本ばなな
作品によって「好き」にムラがありますが、やっぱり好き。センター試験現代文に「TSUGUMI」から出題され、「この受験、もらった」と試験場でほくそ笑んだのは私です。もちろん現代文は100点。

キリがない…

キリがないので、この辺にしておきます。覚え書きとして作家別に書きましたが、たった1冊の文庫、詩集、写真集にワンワン泣かされ、背中を押された10代、「想い出の1冊」というテーマなら、全く違った種類の本が並ぶことでしょう。

私も、ライターという「言葉」で何かをつむぐ役目を負ったひとりとして、いつか、なにか、誰かの記憶に残る文章を書けたらいいな、と思っています。

最近はどうしても、「ハウツー本」「ノウハウ本」「ビジネス本」を手に取り、知識を得ることを前提に読み進め、「役に立ったかどうか」で本の価値をはかるような生活になっています。

でも、私にもまだ。

「ごはんよ」と呼ばれても気が付かず読みふけった「三銃士」の世界に、再び入りこめるだけの感受性が残っていると信じたい。

いやー、読書って、やっぱりいいですよね!

ライターとして、一生、本とは仲良くしたいと考えています。

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