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今、アウルハウスが熱い ~「特別」じゃない人に希望を与える異世界ファンタジー~

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王道外しの異世界ファンタジー

Disney+で配信されている海外アニメ『アウルハウス』を、魔法の世界を舞台にしたファンタジーが好きな人にぜひ紹介したい。溢れかえっている異世界転生や召喚ものとは似て異なる作品で、ベタな展開やお約束に飽きてきた人たちも充分に楽しめる。魔法使いになりたい人たちにも、他の夢があるたちにも希望を与えてくれる物語だ。

物語の魅力

ルース・ノセダは発想力の豊かさを周りに理解してもらえない14歳の少女。授業の発表で生きたヘビや本物の花火を使おうとして問題児扱いされている。愛読書『善い魔女アズーラ』を持って飛び去ったフクロウを追って廃屋の不思議な扉を開けたルースは、魔界のボイリング島に足を踏み入れた。不思議な異世界での冒険に魔法学校や魔法修行。こう書けばお馴染みのファンタジー作品に聞こえるけど、実は王道に見せかけてそこから少しだけ外れている。

私たちと同じ立場の主人公

まず主人公のルースが文字通り普通の人間だ。ちょっと行動は突飛だけど、ハリー・ポッターやアーサー王みたいな選ばれし存在ではない。『魔法戦士レイアース』の光たちや『十二国記』の陽子みたいに、特別な目的や使命のために異世界へ連れてこられたのでもない。もちろん特殊体質やチートスキルの類も持っていない。

そもそも人間だからといって特別扱いもされない。この作品の魔界はヒエロニムス・ボスやレメディオス・バロ、ヨン・バウエルといった画家の絵をモデルに作られている。どれも奇怪な生き物が登場する絵画ばかりで、参考にデザインされた魔界の住人もシュールで個性豊かだ。人間に近い者もたくさん住んでいるから誰もルースの姿に驚かない。決定的に違うのは生まれつき魔法が使えるか使えないか。そこを意地悪な子に馬鹿にされるくらいで誰からも注目されない。

最初ルースは、自分は何か理由があって異世界に呼ばれたと信じていた。夢に満ちた希望はすぐに裏切られ、魔界に来た単なる偶然で特異な力も何もないと突き付けられる。魔法使いになるには地道に努力するのが一番の近道と悟ったルースは、型破りなイーダ、かわいい妖魔のキング、チンアナゴみたいな体のフクロウ(?)のフーティたちの力を借りて修行を始める。

みんなにチャンスがある魔法学校

やがて努力の成果が実り念願の魔法学校に入学するが、ヘキサイド魔法魔術学校は選ばれし者やエリートのための学校ではない。『ハリー・ポッター』シリーズのホグワーツや『ゲド戦記』の学院と異なり、魔力がなくても別の方法で魔法が使えると証明すれば誰でも入学や編入が許される。しかも定職に就いていないイーダがルースを通わせられる点からすると、恐らく学費もかからないか負担になるほどではないのだろう。

ただの人のルースでも魔法使いを目指せる。『アウルハウス』の夢と希望はまさにそこにある。フクロウ便が来なくても、魔法を使える遺伝子や血統を持っていなくても、魔法使いを目指せるのだ。「選ばれし者」の響きはすてきだけど、誰にでもチャンスをくれる魔法学校に入学する方が希望を与えてくれる。

理想と現実が共存する世界

魔界のもう一つの希望が多様性の賛歌だ。ボイリング島はあらゆる外見や性格の住人がいるのが当たり前の世界。ルースの友達にはパパ二人に育てられている子や、ノンバイナリーの魔法使いがいる。多様性やLGBTQIAの概念が普通という点は生きづらさを抱えている人にとっては夢のような場所だ。

とはいえ、魔界は決してユートピアではない。統治者の皇帝ベロスは国民の生活と自由を保障していると見せかけて、影では自分の意にそぐわない人たちを処罰する独裁政治を行っている。表向きは混沌とした世界に平和をもたらしたと説明されているけど、果たして本当かどうか。

ルースにかかわる人たちも多かれ少なかれ悩みを抱えている。魔法学校の同級生にはいじめられて自信をなくしている子や、親の理想を押し付けられている子がいる。一見クールで飄々とした大人たちも例外ではない。家族との関係に悩んだり、ハンディキャップを抱えていたり、心の傷を胸に秘めながら生きている。彼らを少しずつ変えていくのがルースだ。なんだかんだと面倒見のいい師匠のイーダをロールモデルに、自分を大切にしながら相手も尊重する。好きなものに一直線で優しく好奇心旺盛な彼女は、友達を元気付け、ライバルや敵の心の氷も溶かしていく。

カオスな世界の中の希望

『アウルハウス』は混沌とした世界の中にある希望の物語だ。今いる場所に合わなくても、才能がなくてもどこかに居場所を見つけて夢や目標を目指せる。個性豊かな者たちが自分らしく生きようとする多様性の賛歌は、特別ではない人たちが各々のやり方で輝こうとする時代だからこそ響くテーマだ。

現実の世界と同じように魔界はユートピアではない。ボイリング島の謎が明らかにされるにつれて、怒号の展開がジェットコースターのようなスピードで繰り広げられていく。果たしてルースは自分の居場所と大事な人たちを守り、夢見ていた立派な魔法使いになれるのか? 今後の展開から目が離せない。

ダークでカオスな魔法の世界を楽しみたい人は、一度不気味で優しい異世界に足を踏み入れてみてはいかが?

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