フリー編集者が語る 地方で『書籍ライター』(ブックライター)になる方法

フリー編集者が語る 地方で『書籍ライター』(ブックライター)になる方法

「私、副業でライターやっているんです」
「食べ歩きが趣味なので、グルメのブログを書いていまして」

 

編集者であることを話すと、初対面の相手からこんな告白をされることが少なくない。
数年前と比べれば、とくに副業でライターをしている方が増えた感覚がある。

あくまで私論だが、余暇をビジネスに充てて生活を向上させることは、良いことだと思う。

 

さて、そんなライターという仕事は、日本語でコミュニケーションさえ取ることができれば、すぐにでも名乗れる職業だ。

だから、とまで端的に言えないまでも、やはりプロといえる人は少ない。それが編集側の共通認識でもある。さらに言えば、書籍ライター(ブックライター)を見つけるのは本当に難しい。

ただ、ある程度の経験を重ねたライターからは、「どうやったら書籍ライターになれるのか」という質問を受けることがある。

その需要を満たしたい読者がどれくらい存在するのかはわからないが、まだ見ぬ一人の読者に対して、

書籍ライターのニーズは?

書籍ライターになるには?(フロー)

という2つの問いをもとに、情報を綴っておきたい。

ちなみにここで取り上げる書籍ライターとは、ビジネス・実用書等のゴーストライターと同意語であり、ファンタジーや小説、ラノベ等のフィクションを書く作家とは異なるものとする。

書籍ライターは「マラソンから競歩に転向する」イメージ、狙うはブルーオーシャン!

私は運動音痴ながらマラソンをするので、例として使いたい。

文字数=距離と捉えると、SNSの発信代行を請け負うようなライターは短距離のランナーで、書籍や論文のゴーストライターはフルマラソンのランナーのようなもの、とも考えられる。

だが、実際にやってみるとわかるのだが、長文を書くためには、それなりのスキルが必要であり、書き方も変わってくる。

同様に例えるなら、マラソンから競歩に転向するイメージに近い。

マラソンで鍛えた筋肉は使えるが、そのために新たに技術を習得する必要がある。

さて、そんな書籍ライターは需要があるのか。

まず全体感からすると、長きにわたって出版不況と叫ばれ、ビジネス書ブームも終焉を迎えつつあることはネガティブ要素だ。

 

しかし、それでも毎日のように本が発刊されている。
そして、その本を書くゴーストライターが存在する。

つまり、需要はある。

ただ、発刊される本をつくる出版社も、著者も多くは首都圏にいる。
だから書籍ライターも首都圏には一定数存在する。

この首都圏在住の書籍ライターが、地方に在住する著者をもカバーしているというのが業界内の現況だ。

しかし本記事をこれで完結させる気は毛頭ない。

まったくもって希望を感じられないこれら現況に、一筋の光(どころか電球くらい明るいかも)を差し込ませてみたい。

一つは、書き手の高年齢化である。

書籍を1冊書き上げるとなると、それなりに体力と精神力が必要となる。私自身も何十冊と本を書いてきたが、感覚では「50代」がライターの限界だ。

しかし、出版社で活躍しているライターの集まりに顔を出すと、60代が割と多く、70代以上の姿も身受けられる。

理由は様々あれど、一番活躍できるであろう40、50代は空席が目立つ。

もう一つは、分野の偏りだ。

書籍ライターの仕事は、副業ではなかなか難しい。

そうなるとフリーランスが受け皿になるのだが、大局から見ると分野に偏りがあることがわかる。

正確な調査データを見つけられていないが、ライターの得意分野を聞いていくと、ほとんどが「第3次産業」であり、とりわけBtoCを展開しているような産業が挙がってくる。

「第1次産業」にあたる農業や林業、水産業、「第2次産業」にあたる製造や建設、「第3次産業」のうちBtoBビジネスを主とする運輸、卸売、金融、不動産などは、本業が該当しない限りは知らないのが当然で、調べるためのスキルを備えてなければ使える文章など書けない。

これを裏返せば、誰もが得意としない分野を知っておく、
または知るための術を身につけておけば、先と同じく需要はある。

使い古されたワードだが、ブルーオーシャン戦略というところか。

地方で活躍するカギは「行動力」。営業に回り、小さな仕事を積み上げること!

書籍ライターになるためには、何が必要か。それは書く技術と、仕事の発注元である。

これは人に依るところが大きい。

前者はスキル・経験を有しているプロライターが握っているし、後者は出版社で実際に案件を動かす書籍編集者が握っている。

前者については、数が少ないとはいえ、セミナーや講座へ参加するという機会はある。

タイミングが悪く、そうした機会がないと思うことがあるかもしれないが、実は出版社も(しっかり調べれば)割と門戸を開いている。さらには、クラウドソーシングも活用できるだろう。

そこへ自分が全力を注いで書いたサンプル原稿を送るもよし、営業に回るもよし。いわゆる営業職の常識と同じで、動いた分だけ結果が出る。要は確率論なのだ。

また、企業やお店と同じく自分をブランド化し、Webサイト等を活用して24時間絶えず営業活動を行うということも効果的だ。

本来、ライターは情報発信に携わる仕事を受注している。

Webライターとして、SEO対策やトレンドに精通しているライターも少なくない。

だが今も、10年前も、変わらず「自分を発信することが苦手」な傾向は変わっていない。

書籍ライターにおいても、その壁を自分で乗り越えられるかどうかがカギだ。

 

自分ごとではあるが、一つ参考になればと思う。

私は業界紙記者からフリーライターになり、今は書籍編集の仕事をさせていただいている。現在に至るストーリーは、まさに上記に綴った通りだ。

フリーになった10年前、ライターにはクラウドソーシングのような仕組みはなく、多くは、雑誌からスタートして経験を積んでいく流れがあった。

自身もそんなライターの一人として様々な経験を積んでいくことになるが、同時に、偶然得た人脈やセミナー等への参加をきっかけに出版社や編集プロダクションへ営業に歩いた。

1年半ほど、営業をしつづけた頃に、努力は結実しはじめる。

最初はビジネスインタビューだったが、ある時、書籍の一部分についての取材記事を任されるようになり、やがて1冊ごとの発注へと膨らんでいった。これをくり返すうちに、編集まで任されるようになり、実践の中でスキルを磨いていったのだ。

ありがたいことに、この数年で先輩編集者との関わりも増え、独りよがりだった編集スキルやノウハウが、いい形に洗練されてきたとも自負している。

成功するには、運も必要だが、

運を呼び寄せるには努力と行動が不可欠だと私は思う。

 

話を戻そう。

何度も触れたとおり、書籍ライターの需要は確実にある。

冒頭にイメージとして提示したとおり、書籍ライターは競歩と同じく誰にでもなれる仕事ではない。だが、なれる可能性のあるライターがまだまだ潜在していると見ている。

いよいよ来週から、大阪で書籍ライター講座をはじめる。

http://ptix.at/7rLMWu

私自身は教科書になれるほどのレベルではないのかも知れないが、すべてのノウハウと思考術、様々な先輩から教わったスキル、経験で培ってきたことを伝えながら、一緒に仕事ができる仲間をつくっていこうと思う。

そしてこの記事においても、これを接点として「地方で書籍ライターになった」という方と、未来につながれることを固く信じている。

 

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小田宏一

小田宏一

美容室グループの広報担当と出版社の書籍編集者、ライターコミュニティ「大阪ものかき隊」マネージャーを兼務するパラレルワーカー。ライター歴16年。