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発達障害ライターが聞いてみた!トランスジェンダー×発達障害のイラストレーターが実践する「自分らしく生きる方法」とは

どーも、スンダヴです。いよいよオフィスへの出勤が再開されました。

個人的にはオフィスの方が集中できるので、通勤を続けたいです。

今回の「発達障害×生き方企画」では、トランスジェンダー(女性の身体ですが性自認は男性に近い)×ADHDという2つの特性を抱えるイラストレーター、鳥獣まがゐ屋さんにお話を伺いました!

鳥獣まがゐ屋さん

特性を受け入れながらイラストレーターになるまでの半生、そこから編み出した「ジェンダーや発達障害をの生きづらさを軽減する方法」についてお聞きしています。

「イラストレーターってどんな仕事なんだろう…」「実はジェンダーの感覚も他の人と違う…」とお悩みの発達障害当事者はぜひご覧ください。

目次

今の状態が自分にとっての「男性」-鳥獣まがゐ屋さんの特性と性自認

-まずは発達障害の特性についてお聞かせください。

俺はADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉症スペクトラム)の混合型です。ADHDの特性である注意欠陥と、ASDの特性であるこだわりの強さや状況変化の弱さが特性として表れます。

マイルールを細かく設定する傾向にあり、定型の方と行動するとかみ合わないのが悩みですね。

-発達障害の診断を受けたのはいつですか?

俺の母曰く、診断を受けたのは確か中学生の時ですが、ちょっと記憶が曖昧なんですよね。高校生の時に自分がそうであると気づいたんですが、中学2~3年生の時点ですでに診断されていたという感じです。

-なぜそうなったのですか?

中学生の時に告げられはしたのですが、そのまま受け流してしまったみたいなんです。

ストレスで円形脱毛症になるほど特性による生きづらさを感じてはいましたが「自分のパーソナリティは自分で決める」という意思が強かったので、記憶に残らず忘れてしまいました。

-「自分のことは自分で決める」という気持ちが強いんですね!

その後、高校生となって、自宅にWAISの診断結果が落ちているのを偶然見つけました。その時初めて「自分って発達障害だったんだ」と気づいた次第です。

-なるほど…トランスジェンダーの診断はどうでしたか?

自分のトランスジェンダー、つまり「体は女性でも性自認は男性」であることは、早い段階から気づいていました。

小学生の頃からすでに顕著になっていて、スカートを履くのを嫌がって母親と喧嘩したほどです。可愛い柄のTシャツを着るのも、すごく嫌でした。

ただ、発達障害とは違い、正式なトランスジェンダーの診断は今のところありません。

-それはなぜでしょうか?

トランスジェンダーは、国に認められるまでのハードルがとても高いんです。審査も厳しく、面倒な手順をいくつかクリアする必要があります。

俺は診断が無くてもトランスジェンダーをはっきり自覚していましたし、周りの方のほとんどが自分を受け入れてくれたので、診断を受けなくても支障はありませんでした。

というわけで診断はありませんが、カウンセラーには、「男性よりのトランスジェンダーだけどXジェンダーにより近い存在」であると言われています。

Xジェンダーというのは、つまり性自認が男女いず「明確に男性よりの性自認があるトランスジェンダー」れかのカテゴリにあてはまらない存在という意味です。ですが、自分ではであると考えています。

-つまり、どちらかといえば自分は男性であるということですか?

そうですね。

自分が男性であるという意識ははっきりあります。ただ、「じゃあ性転換手術を受けないの?」と聞かれればノーと答えます。今の身体や自分の性自認がありのままの状態で、男性であるという認識です。

-今の状態そのものが、鳥獣まがゐ屋さんにとって男性なんですね。

例えば、男性に向かって「君は男性になりたいかい?」と聞いたらおかしいですよね。

俺はすでに男性だよ!と怒る人もいるでしょう。

俺も、「男性になりたいかい?」と聞かれたら同じ気持ちになります。今の状態そのものが男性なので、特に手術を受けるつもりもありませんし、女性として扱われるのも不服です。

あくまで俺個人の感想なので、他の人より性の概念が薄いかもしれませんね。

付け加えるなら、発達障害の特性として状況変化に弱いので、わざわざ手術して自分の体を変えるのは大変煩わしいですね。

-人に「どちらの性別ですが?」と聞かれることはありますか?

最近はセクハラの問題があるせいか、男性が割と気にしますね。肩を組んだりちょっと叩いたりといったスキンシップをしてよいのか、対応に困るようです。

そういう方には、あえて「俺は男だから大丈夫だよ」とはっきり説明します。

男性の方が真面目ですね。

絵を描くことは呼吸と同じ-鳥獣まがゐ屋さんのアート活動

-現在はイラストレーターとして活動しているお聞きしましたが、創作活動を始めたきっかけは何ですか?

物心ついた時から18年、長期間にわたって描いています。

自分とは切っても切り離せない存在になっているので、暇だと思ったらすぐにボールペンを出して絵を描いていますね。

依頼を受けて、アイコンなどを描くこともあります。そんなに仕事があるわけではないのですが、少しずつお話がもらえたらなと思います。

ちなみに、今使っている自分のアイコンも自作です。

-非常にアーティスティックなイラストばかりですね!どのようなスタイルで創作しているのですか?

 俺はアナログスタイルで、紙に描くのが得意です。

まずイメージ案であるラフ案を描いて依頼主に見てもらい、オッケーが出れば線画(着色以外を完成させたイラスト)にします。その後、線画を携帯のカメラで撮影してスキャンし、「アイビスペイント」というアプリで着彩して完成です。

アイビスペイント
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.ne.ibis.ibispaintx.app&hl=ja

手法はアナログですが、最終的に完成するのはデジタルイラストとなります。

-僕はイラストが下手なので、描ける人はあこがれます。上達法などはあるのでしょうか?

 これに限っては、「描いたらうまくなるよ」としか言えないですね。ゲームでこんなプレイがしたい!と思って練習をするように、描きたい対象を目でしっかりと見てデッサンを繰り返す、これがキモです。

そうすれば少しずつ上達し、優れたイラストを描けるようになります。

-発達障害当事者の中にもアート方面の才能を持った方が多いですよね

発達障害当事者や発達障害グレーゾーンの方は、イラストを描いている方が多い印象です。癖の強いイラストを描いている方も多く、非常に魅力的ですね。

そういった方々を集めて、いつか展示会を開いてみたいと思います。

 

-イラストレーターとして活動しながら、「Art.つむぎ」という団体を運営しているとお聞きしました。

そうですね!

発達障害であると診断を受け、自分の特性がなかなかわからないという方が、得意分野を発見するきっかけになれればという思いがあって立ち上げました。

当初は発達障害当事者同士で仕事をする会社といったイメージでしたが、自分にできるのがイラストしかないのと、一緒に立ち上げた子もイラスト描くのが好きだったので、アート活動団体となりました。

Art.つむぎ 公式サイト
https://art-tsumugi.jimdofree.com/

ただ、一度展示会を開催した後、現在は休止中です。

-私が以前取材したゼロムスネオさんのイベント「Make This Order」にもグッズを出展していましたよね

新作漫画PRイベント 「 Make This Order 」
https://clara2.peatix.com/?lang=ja

友人から、イベントを主催した田邊さんという方を紹介してもらったのがきっかけです。

Art.つむぎでの活動と展示会を通して興味をもってくださったそうで、何度かお会いしてグッズの展開をすることとなりました。

-グッズは私も拝見しましたが、すばらしいクオリティでしたね!

親しい人から投げかけていこう-鳥獣まがゐ屋さんが考える「自分らしく生きる方法」とは

-発達障害の方は、今後どのように生きていくべきだと思いますか?

自分らしい生き方をいかに身に着けるかですね。他の人と同じようなことが私は出来なかったので、ひたすら自己分析して今の生き方を見つけました。

中には分析が苦手な方もいますが、そういう方は専門機関に相談してみましょう。

専門機関もガチャなので、いい先生にめぐり合うまで色々回ってみるのもおすすめです。いい先生は自分の話をきちんと分析して返してくれるので、自己分析が深まります。

-感覚過敏に苦しむ方も多いですよね。

俺にもあります。

人によって千差万別ですが、服は綿100%の商品を切る、ハイビームのような強い光をあびたらとりあえずじっとする、光を軽減してくれる眼鏡や音を吸収してくれるイヤーマフをするといった対策が考えられますね。

-発達障害当事者が自分らしく生きる上での難しさはどこにあると思いますか?

親や周囲の認識不足ですかね。いまだに、発達障害やトランスジェンダーといった特性を認識してくれない親御さんが、数多くいらっしゃいます。

俺自身、親に特性を認識してもらえず、苦しんだ経験がありますね。

なるべく他の人を頼り、頑張りすぎないようにしてほしいです。

-ジェンダーに悩む方は、どのような生き方が必要だと思いますか?

一昔前と違って、社会全体がジェンダーに対して寛容になってきています。服装も個人の自由ですし、企業に提出する履歴書でも隠す必要はありません。ただ、結局のところ、気になるのは身近な人の目線なのだと思います。

身近な人からどう認識してもらえるのかが、一番大事なポイントです。

話しても良さそうだと感じる方に、「トランスジェンダーって存在がいるらしいよ」という風にアプローチをかけてみましょう。

徐々に話を深めていき、最終的にカミングアウトまで繋げます。

先ほども言った通り、両親の方から告げると苦労する場合が多いので、友人から軽く話してみるのがおすすめです。

自分は人の縁には恵まれており、最終的に受け入れてくれる人が多くいました。

-親に受け入れてもらう方法はありますか?

俺の場合、親に受け入れてもらうのは難しかったですね。自分の子供の性別がトランスジェンダーとは予想していないので、困惑するだけでなく、パニックとなってしまう親御さんもいらっしゃいます。

こちらも無理に刺激せず、「トランスジェンダーって性別の人がいるらしいよ」と話しかけ、少しずつ把握してもらえるようにしましょう。

心の底から完全に理解してもらうのは難しいですが、「トランスジェンダーという存在がいて私の子供が該当しているらしい」と学術的に把握してもらうのは、比較的難易度が低いからです。

情報が多すぎると相手が混乱するので、ゆっくり知ってもらえるよう努力しましょう。

-トランスジェンダーに対する認識はどう変化すべきだと思いますか?

人々がトランスジェンダーの概念をゆるやかに認識し、共存していくのが一番だと思います。どの分野に関しても、認識してもらおうって重要なんです。

変にぶつかり合おうとせず、「こういうことなんだな」と知って欲しいですね。

自分の根幹は曲げない-まがゐさんの今後の目標

-今後の目標はありますか?

 いろいろなことにチャレンジして、視野を広げたいと思います。例えば、ざっくりいうと今女装にハマっています。

-何か心境の変化があったのですか?

 性自認は男ですが、好みの許容範囲は年々広くなっているんです。女性の体を持っているなら、女性を楽しむのはありでは?という気持ちが芽生えてきました。

メイクをしたり、ロングウィックをしたり、ヒールを履いたり色々して、視野を広げている最中です。

身体と性自認が違う人は世の中にいっぱいいますし、好みがどうであれ、自分の根幹が変わらなければ良いと思います。なので、今後も自分の根幹を曲げずに生きていきたいですね。

-最後に、この記事を読んでくれた方に一言お願いします。

 とりあえずTwitterでイラストを見てくれると嬉しいです!趣味で描いている絵でプロの一枚絵とは違うかもしれませんが、「好き」と言ってくれる人もいます。

よかったら見てください!

鳥獣まがゐ屋さんのTwitter
https://twitter.com/kogarashi_magai

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