※本コラムは、大阪ものかき隊の卒業課題として、3か月間の講座で得た気づきとライターとして生きる覚悟を振り返ったものです。
2026年、桜のつぼみがふくらみ始めたころ、継続中のクライアントから一本の連絡が入った。
「また何かありましたら、ご連絡しますね」
(意訳:契約終了のため、依頼する仕事はありません)
私は専業・副業を問わず、ライターとして活動している。これまでSEOライティングやAIライティングを経験し、現在は経営者へのインタビューや製造業、採用分野の取材・執筆が中心だ。
「仕事を辞めて、もう一度フリーランスでやっていく」と決意し、再スタートを切った矢先の出来事だった。
指先が冷たくなり、チリチリと痛み出す。これからどうすればいいのか、何も考えられなくなってしまった。
八方ふさがりの中で出会った「大阪ものかき隊」
取引先を1社失ったのは、フリーランスになった直後の私にとって正直痛手だ。
「執筆のクオリティが悪かったのか?」
「クライアントとの接し方が間違っていたのか?」
「専業ライターになる決断は間違いだったのか?」
悩んでも答えは見つからず、頭を抱えている時。
「ものを書くための文章力やセルフブランディング力、AI活用スキル、ビジネススキルを学びませんか?」
大阪ものかき隊の隊長である本田さんから、X(旧Twitter)でDMをいただいた。
大阪ものかき隊は、「書く」を仕事にしたい人や、さらにスキルを磨きたい人が集まるライターコミュニティだ。「大阪」と名前についているものの、参加者は全国各地から集まり、年代や性別、専業・副業などの働き方もさまざまである。
入隊後の3か月間は、仮隊員として講座を受講する。課題や受講生同士のディスカッションを重ねながら、ライターとしての在り方を考え、自分の強みと向き合っていくカリキュラムが組まれている。
もともとコミュニティの存在は知っていた。先が見えない中、本田さんと面談し、無料説明会に参加。活躍している先輩ライターや「ものかき」たちの話を聞くうちに心が弾んでいった。
「ライターをやっていく上で、自分を見つめ直すタイミングがやってきたんだ。ここでしっかり学んで、成長したい!」
説明会を終える頃、私は迷いなく入隊手続きを進めていた。
3か月間の講座で見つけた、目指すべきライター像と自分のタイプ・強み
大阪ものかき隊の講座で、課題や受講生同士のディスカッションを重ねる中、共通する考えが見えてきた。
「ライターは翻訳者」
不動産や金融、農業など、扱うジャンルは違う。取材やSEO、セールスライティングなど、用いる手法も異なる。それでも、仕事への向き合い方を語り合うと、全員の答えは同じだった。
人や企業の想い、専門知識、サービスの価値を、読者に伝わる言葉へ翻訳する。
本田さんの講義を受け、受講生と様々な意見を交換しながら、話を聞く中で、今までの仕事を振り返った。
「自分の表現や想いを優先し、読者やクライアントを置き去りにしていなかっただろうか?」
頭を殴られたような感覚だった。読者の理解や行動につながらず、クライアントが伝えたい魅力も届けられない記事では、役割を果たしたとは言えないのだ、と。
では、自分はどんな書き方なら価値を届けられるのだろう。経験を振り返るうちに、自分の特性が見えてきた。
私は、ゼロから生み出すより、人の想いや経験に隠れた魅力を見つけ、読者へ届く形に整えるタイプだ。
取材では、インタビュイーの想いや経験に耳を傾け、ふとこぼれた言葉から人柄を感じ取り、まだ表に出ていない気持ちをくみ取る。会話の奥にある想いをすくい上げ、伝わる言葉へ磨く過程にやりがいを感じている。
相手の魅力を見つけ、読者へ届ける力が、自分の強みだ。
「何でもできる」を目指すのではなく、自分の強みを活かして価値を届ける。ライターとしての意識が切り替わった瞬間が、転機になった。
仲間との出会いで高まる、ライターへの熱い気持ち
大阪ものかき隊は、ライティングの学びの場だけではない。挑戦する人がいる環境に身を置く大切さを教えてくれた。
フリーランスは孤独との戦いでもある。雇用され、会社に守られている状態ではなく、悩みや不安を抱えていてもすべて自分の責任だ。
そんな中で出会ったのが、副業で挑戦する人や同期のフリーランス、さらに成長を目指す先輩ライターたち。
立場は違っても、誰もが本気で仕事と向き合っていた。課題への向き合い方や行動力、目標に向かって努力を積み重ねる姿を見ていると、「自分も頑張らなければ」と自然に思えた。挑戦する人たちの熱量は、不思議と周囲にも伝わる。
オンラインで交流できるだけでなく、大阪で開かれる交流会で直接話せる機会があるのも、大阪ものかき隊ならではだ。画面越しでは分からない人柄や考え方に触れられたのはもちろん、何気ない会話から多くの気づきを得た。
先輩ライターや編集プロダクションの社長、書籍を出版した方など、現場で活躍する方々の話を聞き、ライターとしての正解は一つではなく、自分の軸を持って進むものだと実感した。働き方も目指す姿も人それぞれだからこそ、自分と向き合い続ける姿勢が何より大事なのだと気づいた。
周囲の活躍を見て焦ってしまう日もある。それでも、人と比べる必要はない。
「自分が目指したい姿に向かって、一歩ずつ進もう」
挑戦する人たちに囲まれた環境だからこそ、ついて行きたい。
不安と覚悟のはざまで見つけた、自分の明確な目標
正直に言えば、まだ不安はある。契約したばかりの案件がメディアの方向転換によって白紙になるなど、物事が思うように運ばない日々に絶賛落ち込み中だ。
それでも、大阪ものかき隊で過ごした3か月間を通じて、明確になった気持ちがある。
「採用企業と候補者を真の意味で結びつける記事を書きたい。職人や事業者をはじめ、人々の想いや生き様、魅力を読者に届けたい」
取引先を失ったあの日、目の前が真っ暗になった。そんな私に差し出された一本の蜘蛛の糸。
講座内で繰り返し聞いた言葉がある。
「受け身では成功しない」
仕事につなげるためには自分で考え、行動しなければチャンスはたぐり寄せられない。自分が置かれている状況が厳しくても、今日もキーボードを鳴らしている。


