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心不全の夫との関係。元医療従事者のライターの、心理的コントロール法

家族が病気になったら、死ぬまで付き合っていく病気になったら、どうしますか。

我が家の場合、夫が心不全と診断されました。治る病気ではありません。

私は、PCで心不全をググり、知識を得ようとしました。
そして、関連記事を見つけて、参考にしようとしました。

でも、神様はなぜ私に試練をお与えになるのか、と嘆きはしませんでした。
私が頑張らなくちゃ、と張り切ることもしませんでした。

今回は、私が色々と考えた、「生活する上での心構え」をお伝えしたいと思います。

参考になれば幸いです。

心不全とはどのような病気か

心不全ドットコムさんのHPから、さらっと引用させていただきます。


“「心不全」という言葉は病気の名前ではありません。心臓の機能が低下して、体に十分な血液を送り出せなくなった状態を「心不全」と呼びます。”

“からだに必要な酸素が足りなくなり、息切れがしたり疲れやすくなったりします。”

“血液がスムーズに流れないので、臓器に水分がたまりやすくなります。”


夫の症状は、次の通りです。

歩くと体全体に倦怠感が生じるため、休憩なしでは歩けない。
3階建て自宅の階段の上り下りがきつくてつらい。
足がパンパンにむくんで、痛みを伴う。
横になると湿った咳がでて、一度出ると30秒ほど止まらない。

知り合った当初から、夫には不整脈と心房細動の症状がありました。
それが年月を経て、心不全という状態になってしまったのです。

夫が放つ言葉は悲観的で自虐的

夫が心不全だと診断されてから、約2年が経過しました。

夫は『俺は長くないから』『もうすぐこの家の名義は君のものやから』などと悲観的なセリフをかなりの頻度で口にします。さらに『早く俺に死んでほしいやろ』『君にとって俺は邪魔な存在やからな』と自虐的な要素を盛り込みます。

反面、規則正しく青汁を飲んでいます。血糖値が上昇しないように、カリウムたっぷり野菜ジュースを買ってきて欲しいと私に伝えます。

言葉と行動が裏腹に思えませんか。

ひょっとすると、50代以上の男性に多いタイプかも知れません。

夫は、死ぬための心の準備が多少はあるかも知れませんが、生きたいのです。

言葉だけで判断せずに、行動や態度を観察してみて下さい。本人の本音に寄り添って下さい。

診察に付き添ってわかった、夫の勝手な解釈

胸部レントゲン写真から見える事実

半年以上振りで夫の総合病院での診察に付き添いました。

一緒に胸部レントゲン写真を見ながら、主治医の説明に耳を傾けます。
レントゲン写真には、大きくなった心臓が映し出され、明らかな心拡大が認められます。

『CTRの正常値は50%以下だと言われていまして、今、ご主人は52%ぐらいです。』

『半年前より3%小さくなっています。でもこれ以上は小さくならないでしょうね。』

心不全という状態になってしまっているが、当初の状態よりも若干落ち着いている、という説明でした。心臓の保護薬をこれまで通り服用し、様子を見ることとなりました。

夫の勝手な解釈

自宅に戻った夫は「これ以上良くならないと医者に言われた」と私に訴えます。

どうやら『小さくならない』という言葉を『良くならない』というニュアンスに勝手にすり替えたようです。

医師は言葉遣いに注意を払う職業であり、患者に絶望を与える言葉は発しません。元医療従事者の私には断言できます。

しかし、絶望的観測を持っている夫には、そのように聞こえてしまうようです。

過去にも、夫が勝手に解釈しているのでは、と思われる私への訴えが多々ありました。しかし、診察に付き添っていないので憶測でしかありませんでした。

絶望的観測を取り除く

今回、診察に付き添った結果として、色々なことが分かりました。

『良くならない』と判断されたと思い込んでいる夫に、勘違いだよ、と伝えました。医師が伝えたのは、大きさに関する客観的事実であるからです。これまで通りにきちんと薬を飲んで様子を見ていこうよ、と言葉を追加すると、目に見えて落ち着きました。

私が、心不全に関わる症例を読んでいることを夫は知っています。薬の服用だけでなく、軽めの運動を続けることでQOLが良くなることもさりげなく伝えました。

どんな人も個人特有の解釈の仕方があります。脳のフィルターと言えば分かり易いでしょうか。

医師の言葉を、自分勝手に解釈して不安を募らせるようであれば、そうした不安を少しでも取り除けられるような言葉がけが必要です。

夫は気付かない人を見下す

検査を申し込む

診察前に色々な検査をしておく、というセオリーはご承知の通りだと思います。夫の場合は、採血、胸部レントゲン、そして心電図です。総合病院では、こうした検査の順番は、受付番号で管理されることが多いようです。

採血部門の受付で検査を申し込む

採血と心電図の受付番号が自動で発券される

 ↓

ディスプレイモニターのある待合で待つ

受付番号は二つ、片方は3桁で、もう一方は4桁に及びます。手元の番号とディスプレイに映し出される番号を見比べながら順番を待ちます。老眼の進んだ夫には、番号は少し小さいようです。

心電図検査の待合室での出来事

採血が終わり、心電図検査の待合室にきました。かなり込み合っています。臨床検査技師さんがiPadを片手に患者さんを呼んでいます。

「4892番の方、どうぞ~」「・・・」しかし、誰も反応しません。10秒ほど待ちます。

「4892番、いらっしゃいませんか~?」さらに10秒経過です。シーンとしています。

「え~っと、4892番のたなかひろしさ~ん?」

すると、近くに座っていた80歳ほどの男性が片手を挙げて「は~い」と答えました。

「こちらのお部屋にどうぞ」「はい」とその後はスムーズに事が運びました。

笑える場面を切り取る

私は、思わず「ふふふっ」と声に出して笑ってしまいました。

「おじいちゃん、可愛いね。名前を呼ばれたら、すぐに素直に手を挙げたね。番号じゃ分かりにくいよね。」夫に笑いながら話しかけました。

夫もつられて笑います。

呼ばれているのに全く気付かない、いえ、気付けない人を見下す傾向が夫にはあります。

「4892番に反応なし」の場面でも、夫から「ちょっとずつ不機嫌になっていくオーラ」を感じつつありました。

でも、上手く笑いに変えることが出来ました。

お気付きになりましたか。その通りです。私は意識して笑う場面を増やしています。

まとめ

夫婦であっても親子で会っても、同じ人間は一人としていません。

相手の本音は、発する言葉だけでは分かりません。表情や態度から理解できることもたくさんあります。本当の気持ちに寄り添うことが出来れば良いですね。

物事に対する解釈は、人によって違います。自分の当たり前は、相手にとっては初めてのことかも知れません。自分と相手は全く違うという前提で接した時、相手の不安を取り除くことが出来るのではないでしょうか。

笑いは万病の薬です。ちょっとした出来事でも、面白いとか楽しいとかの要素を探して表現します。大笑いする必要はありません。

寄り添う、不安を和らげる、笑う。

頭でわかっていても、実際に行動するのは大変ですけどね。

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