WEBライターのおおにしこはるです。
クラウドソーシングで請け負うライティング作業では少ないのですが、データ入力、特にファッション系ネットショップクライアントが依頼する案件の場合、商品写真を扱うケースがあります。
ここに落とし穴がポッカリと空いている事を知らずに作業依頼をかけてくるクライアントがいます。 今回はこの落とし穴について書いてみようと思います。
クラウドソーシングのデータ登録案件で怪しいものに当たった
先月、某クラウドソーシング経由のお仕事で、ファッション系通販会社が集まるサイトに出店している個人のクライアントから「商品データ登録作業」の依頼があり、私はその案件を受けることになりました。
そのサイトが取り扱っている商品は洗練されていることも手伝ってか、作業を始める事にワクワクしていました。
しかし、クライアントの話では簡単な商品登録だったので楽な仕事だと思っていましたが、送付されて来たデータを見た瞬間ものが言えなくなりました。
送られて来た画像は、有名海外ブランドの公式サイトにある商品画像だったのです。
クライアントの作業依頼はふたつ。
リストにある商品を当該ブランドの公式サイトで検索をし、ブランドサイトから自分のパソコンに画像を取り込み、その後、背景を透過処理(背景を透明にする処理)して、クライアントが指定した背景に貼り付けていくことが1つ。
もう1つはSEOを意識したサイト作成。
500件が1単位なので作業量は多くなりますし、画像登録をするだけでなく、SEOライティングも任されることになったので「割に合わないなー。」と感じつつ、何よりもアカン!!と感じたことは、画像の無断転用。
これ、世界的に取り締まりの対象になっていますから、相手ブランド側から訴訟を起こされる可能性を秘めています。
事前のコミュニケーションは取れていて、打ち合わせも満足していました。てっきり在庫を抱えての商売と考えていましたが、無在庫でビジネスを展開しているクライアントでした。
質問後、あっけなくキャンセルされる
その後、送付されて来た無断転用の画像一式を見て唖然とし、すぐさま「画像の転用許可があるのか?」「(透過加工などの)二次使用の許可は得ているのか。」と質問をしただけで「キャンセルの旨、承りました。ご苦労様でした。」と言った一言メッセージで、仕事がキャンセルに。
言い訳一つ無しで仕事をキャンセルして来たという事は、イコール無断転用を行っている。。。という答えになります。
クライアント側は、私に突っ込まれてアタフタしたのでしょう。主婦や学生中心で仕事を依頼していたようでしたから、画像の無断転用に対して突っ込まれることはなかったのかもしれません。
けれど、つい先日までIT系ライセンス関連業務をしていましたし、私もデジタル系の画像編集と制作をしています。
他の著作物に比べ歴史は浅いとは言え、デジタルコンテンツの著作権は常に守りたいというポリシーを持っていますから、無断転用、無断二次使用に手を出すことはしません。
古物商の認可を持っていないと、違法行為となる
また、このようなビジネスは「転売」が目的なので、「古物商」の認可が必要となり、古物商が無ければ違法行為になります。私も確認を怠りましたから偉そうには言えませんが、ブランドサイトから商品画像を無断で転用しようとするクライアントに「古物商が必要だ。」と言った知識はないでしょう。
*古物商とは*
古物商許可証の略。中古品を扱うという事ではなく、せどりや転売目的で商品を仕入れたら、その商品は「古物」として扱われ、その古物を扱うには各都道府県の公安委員会から古物商の認可が必要となる。古物商を持たないまま転売、せどりを行うと違法行為になる。なお、自身が持っていた物品、購入して不要になった物品を販売することに古物商は不要である。
後に調べましたが、そのサイトを運用している会社は、画像の無断転用を黙認している状態。
各ブランドから訴訟を起こされたら最後、億単位の損害賠償では済まないほどの額の賠償金を支払わなければならないでしょうから、一気に倒産に追い込まれるでしょう。
まとめ
クラウドソーシングは、様々な仕事があり、自身が持っているスキルを発揮できる場だと思います。ただ、今回のクライアントのように、違法性を漂わせる場合もあります。受託側の私たちは、仕事を受ける前に仕事内容を吟味しなければならないと痛感しました。
けれど、今回のケースは法律、法令などをクライアント以上に知識として持っておかねばならず、それらの知識がない場合は、最初から手を出さない方が賢明です。
最後に判断基準と、受注側としてのリスクの回避方法を記載します。
① 無在庫販売の店の多くが外注して来るから、極力その案件は避ける。どうしてもやりたい場合は、今現在、在庫を抱えているか否かを尋ね、画像編集がある場合には、そのクライアントのオリジナル画像を編集するのかどうかを尋ねる。
② 画像は「各ブランドからの物である。」と回答が返って来たら、転用使用の許可を受けているのかをクライアントに尋ねる。許可がない場合は断る。
③ 「古物商」の認可があるのか否かを尋ねる。
④ 直接報酬を支払おうとするため、銀行口座を尋ねて来る業者の場合は避ける方がよい(クラウドソーシング業者を通さない直接取引に陥りやすいため)。
これらの4点は、今回体験したことをもとに書いているのですが、クラウドソーシングで依頼する側・受託する側、双方が気を付けなければならない事案だと考えています。
組織的な考え方ではありませんが、コンプライアンス違反にならないような、気持ちの良い仕事をしたいですよね。