大阪ものかき隊を知ったのは、2-3か月後には無職になる、そんなタイミングだった。今後の自分の人生をどうしていこうかと考え、Twitterで目についたキャリアのイベントに参加した。そこで出会った、元ボランティアライターの方に隊のことを教えてもらった。
社会人になって早数年。子どもの頃から就職するまで憧れていた職業に就けなかったわたしは、今後のキャリアをどう築いていくかを常に考えていた。一度は転職をしたが、諸事情で退職することになった。すぐに再就職をする気も起きなかった。無職になるなら時間ができる。せっかくなら、子どもの頃に好きだった文章を書くことを再度やってみてもいいんじゃないかなと思った。
「書くことを続けたい、楽しみたい。でも読まれる必要はない」
ちょうど年末に、noteを始動させていた。ゆるゆると何かを書いていけたらいいなと思って、読み専から脱したのだった。読まれたいなんて全く思っていなかった。ただ素直に言葉を紡いでいきたいと思っていた。一方で、noteでスキをもらえたら嬉しいとは感じていた。心のどこかには、書くことが何かに繋がればいいなといった下心もあった。
そんなごちゃごちゃな心境のなか、ものかき隊に入隊した。
オンラインジムで月初に今月の文字数を宣言する。へんなところで負けず嫌いな一面があるわたしは、絶対に目標を達成するぞと意気込んでいた。
今はたくさんの黒歴史を作るとき。たくさん書いて、読まれることにどんどん慣れていって。と言われていたので、書いては投稿。投稿しては、Twitterで投稿をシェアした。隊内部でも共有をした。
読まれることに対する抵抗があった。わたしのことを全然知らない人に読まれる抵抗はほとんど無かったが、知人に読まれることに対する抵抗が強くあった。知人が、noteを読んだとせっかく報告をくれたのに、「え、読まないでほしかった……」と言ってしまう始末だった。 この件に関しては、すぐに猛反省して連絡を送った。
「読んでもらうことの嬉しさを知った」
詳しいことは分からずに参加した編集校正部のもくもく会で、毎日書いてみなよとアドバイスを頂いた。そこから、noteの連続投稿が始まった。めちゃくちゃでもなんでもいいからとりあえず書いて、その日のうちに投稿する。そんな日々を3週間ほど過ごした。
最初はちゃんとしたものを書かないと、と謎のプレッシャーを感じていた。どんなに変な投稿でもいいやと開き直り、意味の分からない内容でも、えい!と投稿するようになった。ちょうどこの頃、noteアカウントを「スキなことを好きなように書く実験場」と銘打った。実験場だからこそ、何をしてもいい。失敗なんてない、カッコつける必要もないと。
1回目の基礎講座で、自分自身に対するキャッチコピーを作りましょうと言われた。キャッチコピーがあることで、判断軸にもなるからと。その考えを応用した形だった。
連続投稿をするようになって、知人がおもしろいと投稿シェアツイートをリツイートしてくれた。区切りのいい日数で、応援していると言葉をもらった。わたしが書いたnoteが読んでもらえてる。嬉しいと感じた。
何気なく参加したnoteのキャンペーン企画が、一次選考を通過した。最初は驚いた。思い入れのある出来事に近いテーマだったから、内容としては書けると感じていた。だけど、まさか選考に通過するなんて……。読まれるって、こういう体験なんだと知った。
「全然知らなかった世界。その一部を垣間見た」
文章を書くことは、子どもの頃から好きだった。あくまでも自分の思ったことを表現する手段として文章を使っていた。だからこそ、難しいことは一切考えたことがなかった。
編集校正部やマーケ部、SNS広報部の3つの部活動が、隊のなかに存在する。マーケティングやSNSがライターにとって重要なの? 読まれることを意識したことなかったわたしには、ピンとこなかった。子どもの頃の文章は、宿題で書いた文章だと先生が読む。書いたら絶対に読んでもらえるという環境だった。
だけど、ライターとして書く文章は、絶対に読んでもらえる相手は存在しない。届けたいペルソナはあっても、ペルソナは架空の人物だ。ペルソナに該当する人物だって、必ずしも読んでくれるとは限らない。読んでもらうために、そしてなんらかの行動変化を促すために、「届ける」ことをしないといけないと知った。
社会人経験が浅いわたしには、分からないことがたくさんあった。数年間社会人をやったことでわかった気になっていただけなのだと痛感した。
ライターという職業が、多岐にわたっているとは知らなかった。先輩隊員の方のお話を聞いても、いろんな分野にいろんな形でライターとして関わっていらっしゃった。本当に奥が深いライター職。この3か月間で、ほんの一部を垣間見ることができた。
同期にも、ブログ畑の方、商業ライターとして働かれている方がいた。ライターではないが、すでに事業を展開されている方もいれば、これから始めようとしている方もいる。会社での出会い、同年代での交流しかなかったわたしにとって、不思議な方々ばかりだった。あ、こんなキャリアがあるんだ。こんな世界があるんだと。知らないことだらけだけど、「書くこと」を軸に集まった同期のメンバー。決してわかち合えないわけではない。そんな今まで周りにはいなかったタイプの大人たちと出会うことができた。
「さてさて、これから」
3か月間の基礎講座が終了した。引き続き、隊に残って活動をしていこうと思う。今後、隊で学びたいことは? と聞かれ、わがまま放題にいっぱい列挙した。まだまだわたし自身が、どんなライターになるかは決められていない。もしかしたら、ライターにならないかもしれない。でも、隊に残って活動をしたいと思った。
いまのわたしは、ライティングを通じて自身に立ち返れる人を増やしたいと思っている。そのために、隊でいろんな人と交流しながら進んでいきたい。