ネイル施術から学んだライターの生き残り術

ネイル施術から学んだライターの生き残り術

こんにちは。防災ライターの南部優子です。

今日は、ネイルの小ネタ。

ちょっぴりやらかした反省と、そこからただでは起き上がらなかった学びの話をしたいと思います。

ライターが憧れたネイルの「理想と現実」

正直に白状します。

憧れていたんです、ネイル。

本を読んだり、資料をめくったり、PCを操作したりするとき、ちらっと目に入る指先がつやつやしてたら、ちょっと幸せな気分になりません?

あと実用的な問題として、爪が折れやすい体質のようで亀裂が入りやすく、しょっちゅうはがれて困ってたんで、補強できるのも魅力的で。

それで、数ヶ月に一度のペースで発作的にマニキュアを買ってきては塗ってみて挫折、というのを繰り返してました。

マニキュアって、揮発性の匂いにふらふらになりながら、ものすごい時間をかけがんばって塗るのに、つるんと仕上がらないんです。なにより乾くまで待っていられないのが問題で。もう乾いたかなって触ったら指紋つけちゃう。もういいかなってキーボード叩いたらえぐれて傷だらけ。

やっぱりプロのネイリストにちゃんとネイルしてもらいたいなあ。挫折するたびにため息ついてました。

餅は餅屋、ですものね。

 

* * *

 

そんなある秋の午後、いつもの通り道で何気なく視線を横にしたとき。

ネイルのお店があることに突然気づいたんです。

こんなところに! -毎日忙しすぎて周りをみてないという神様のお告げかもしれません。

大発見した勢いでお店の扉を開けてしまいました。

「予約って、できますか?」

ほろにがのネイルデビュー

いよいよネイルデビューです!

ネイリストは、この道10数年というベテランの方です。

爪をサンドでざらざらにして、ジェルを塗って、紫外線を当てて固めて。

-こんなやりかたするねんな
-そりゃ自分ではうまくいかへんはずや
-むっちゃ厚塗りするんやな。これやったら何しても折れへんな

 

* * *

 

できあがりました。初ジェルネイル。

でもね、ちょっと、これじゃない感がでちゃったんです。

たしかに、恐ろしくつやつやになりました。キラキラもつけてくれたんで、びっくりするくらい華やかになりました。でもなんとなく趣味じゃない仕上がりで。

悪くないんです。悪くないけど、これじゃないって感じ。

しかも、予想外の分厚さで。爪を使ってシールや紙をめくることができなくなってしまったのが、ボディーブローのようにダメージとなりました。

もうひとつの予想外が、ネイルオフの作業でした。

しっかり塗るため当然、次の塗り直しのときにはネイル部分をがっつりと削り落とすことになります。2回めに塗り直してもらうとき、削り取られた自爪の薄っぺらさをみたときに、もうこれは取り返しがつかないんじゃないかしらと、微かな不安がよぎりました。

ジェルネイルってのも、完璧じゃないんだなあ。

 

* * *

 

それでもまだのんきに構えていたのですが、このあと、ライターとしては致命的な問題にぶち当たりました。

うっかり忘れていましたが、爪は、伸びるんです。

2回めの施術のとき、そのままでいいです~って、最初のときより長めにしちゃったんですよね。そうしたら、思いのほか爪が伸びる伸びる。

ガッチリと固められた分厚いジェルネイルは、爪切りは使えません。次の予約まで、そのままです。

じりじりと伸びた指先は、キーボードのあちこちをランダムに攻撃するようになっていきました。

-このままでええんやろか
-なんか、とんでもない状態にしてしもたんちゃうやろか
-ライターがネイルなんて考えた罰やろか

つやつや・キラキラの「憧れていたはずの指先」を見るたびに、少しずつ気持ちが削れていくようになっていったのです。

ネイルリベンジ!

そんな状態になってはじめて、「ジェルネイル」というワードで検索してみることを思いつきました。

検索してみて、ジェルネイルにも種類があることを発見しました。

その中でも、自分の施術してもらったのがハードタイプ、いちばん固くてきれいに仕上がるけど爪を削るため負担がかかるタイプだということがわかりました。

なんという不覚! ネイルにいろいろあったなんて!

改めて調べ直し、パラジェルという自爪を傷つけないタイプで施術する専門店が近くにあることを知り、行ってみることにしました。

 

* * *

 

新しい店では、はじめに現状とネイルに対する正直な気持ちをネイリストに伝えました。

現在ハードタイプのジェルネイルをつけていて、いろいろ不自由が出ていること。

ライターなので爪を守ることを主目的のネイルにしたいこと。

つやのある上品な仕上がりを望むが過剰な飾りはいらないこと。

 

* * *

 

ネイリストは、今年専門学校を卒業したばかりの新人さんでした。

ものすごく時間をかけて、削りとり、爪のケバを均し、ベースを塗り、色を置き、コーティングしていきます。

正直なところ、これまでと作業工程はあまり見分けがつきませんでした。ただ、ひとつひとつの施術内容について、ハードジェルとパラジェルの違いを説明してくれたので、根本的なところで違うことはよくわかりましたし、こちらからも質問ができ、納得していけました。

また、はじめにライターとして爪をどのように使いたいのかをはっきり伝えたので、「ライターさんだったら」と、考え、考え、指にいちばんよい施術を提案してくれました。

爪の長さを決めるときは実際に押した時の感触で判断させてくれたり。

あまり分厚くならないように気をつけてくれたり。

「キーボードをよく叩く人は爪先から剥がれてきやすいから」と裏側まで念入りにみてくれたり。

今自分の爪がどういう状況で何に気をつけなければいけないか、パラジェルにありがちなデメリットも丁寧に説明してくれたので、安心感が違いました。

 

* * *

 

3倍近い時間をかけ、できあがったネイルは、自爪とほとんど変わらないくらい肌なじみの良い桜色で、控えめなつやがのった上品な仕上がりになりました。

パラジェルも、完璧じゃない。でも、これが私のネイル。

手を伸ばした先の輝きが、やっと喜びに変わりました。

 

ネイルから学んだ3つの「甘さ」

長々とネイル話を連ねましたが、今回の体験で、サービスを受けるときの心得がなかったことからくるトラブルが身にしみました。

ネイルという憧れに対し、なんの予備知識もつけようとせず、ネイルをつけさえすればバラ色になると思い込んでしまったこと。

ネイリストは爪のことをなんでも知っているから、何も言わなくても素敵な爪にしてくれると任せてしまったこと。

自分の爪の色や形は気に留めていたけれど、毎日少しずつ伸びていく体の一部だということを忘れてしまっていたこと。

いろいろな「うっかり」が重なり、理想と現実のギャップを生んでしまったわけですが、この教訓はライターとして気をつけなければならない心得にもつながると反省しています。

ネイルからの教訓その1 調査の甘さ

まずなんといっても、ジェルネイルに関する調査をサボったことが敗因でした。

憧れだけでいいものだと想像し、自分で塗ったことのあるマニキュアと同じようなものだろうと勝手に思い込んで。

ネイリストに質問もせず――質問できるほどの予備知識も仕入れず、言われるままに手を差し出していたわけです。

考えてみれば、これほど危険なことはありません。

誰に何を頼むにせよ、誰から何を頼まれるにせよ、リサーチして関連情報を仕入れ、状況を理解するのは当然のこと。ずっと自分はいつもそうしているという驕りが出てしまいました。

丁寧な調査、しっかりしたエビデンスで執筆するライターを売りにしていたのですが・・・これでは名折れです。言い訳の余地がありません。

ネイルからの教訓その2 目的の甘さ

もうひとつの重大な敗因は、ただの憧れで、ネイルさえすれば!と思ってしまい、明確な目的をもたずに始めようとしたところです。

手のモデルじゃないんですから、ネイルしたら速攻で素敵な指先になるなんてこと、ありえないんですけどね。なぜかそう思ってしまった。

髪型を決めるときだと、カットモデルで良さそうなのをみつけても、飛びつく前に自分の顔だちとか髪質とかを考えて冷静に判断するんですが、爪は別と思ってしまったのは経験の差だったのかもしれません。

リベンジのとき爪の保護が目的であることや見た目の希望を明確に伝えられたのは、ネイルされた自分の指先がどのような動きをし、どんな使い勝手になってるかを想像できていたからでした。

これって、ライターでお仕事するときと同じですよね。

クライアントの方々には口を酸っぱくして、目的をしっかりと! 読者が何を受け取るか、どんな行動に結びつけたいのかを考えて! と、偉そうなことを言ってましたが、立場が変わると自分だって同じことをやっているんですからね。

「ライターに頼めばなんとかしてくれる」と頼りたくなるクライアントさんの気持ちに少し近づけたかもしれません。

これからはもう少し優しく、「気持ちはわかるけど、ライターも魔法使いじゃないからなにがいいのかを一緒に考えていこうね」って、寄り添っていきたいと思います。

ネイルからの教訓その3 観察の甘さ

さいごに教訓となったのは、観察力です。爪について全然意識がなかったので、伸びていくものだってことすら忘れてました。

爪、ごめんなさい。

どのくらいで伸びて爪切りがいるのか。キーを打つとき、紙をめくるとき、料理をするとき、髪を洗うとき、爪がどんな仕事をしてくれるのか。ネイルしたいと思ったときに、もっと爪のことを大切に考えて、じっくり観察しておく必要があったんです。

目的を考えるにせよ、リサーチするにせよ、対象物に興味をもってよく観察することが大前提。よいライティングの根底には観察があるのだということに、改めて気付かされました。

爪、ありがとう。

まとめ ~なにごとも、指先まで気を抜かず~

なんということのないネイルの話を強引にライターの心得にもっていったお目汚しのお話におつきあいいただき、恐縮です。

日常生活のどんな些細なところにも、何かしらのネタが潜んでいるということで、今後もいろんなものを観察しながら、アンテナを広げていきたいと思います。

指先まで心をこめて。

 

 

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南部優子

南部優子

書籍編集歴8年、ライター歴15年、DTPデザイン歴10年。 出版社の編集員、選挙事務所の政策広報、環境NPO広報、防災コンサルタントの経験があります。現在はフリーランスで活動中。 WEBサイトからポスター・チラシ、広報紙、書籍まで、幅広いメディアでのライティングを行っています。