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山本五十六「やってみせ〜」から学ぶ、失敗しない人材育成の秘訣

「やってみせ 言って聞かせて させてみせ 誉めてやらねば 人は動かじ

話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず

やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず」

海軍連合艦隊司令長官「山本五十六」の有名な言葉です。

この言葉との出会いは、管理職になって初めて受けた研修の時でした。歴史で習った人も多いでしょうが、当時のわたしの知識は「誰それ?」といったレベルでした。

人材育成は後輩をもつ若手社員からベテラン社員まで重要な課題のひとつです。今でも人を育てることに悩む時があります。

この言葉は、どんな人材育成に関するノウハウ本よりも分かりやすくて心に刺さるものがあります。

今回は、山本五十六の言葉をテーマに失敗しない人材育成の秘訣について書いていきます。山本五十六を知っている人も知らない人も、先輩として上司としてどうあるべきかを一緒に考えてみませんか。

目次

なぜ人材育成をする必要があるのか

管理職に成り立ての頃、人事部が主催する研修に参加しました。

そこで山本五十六の言葉を知り、以来ずっと頭から離れなくなってしまったのです。

わたしは自分のスキルをもっと高めなければいけないとか、もっと認めてもらいたいとか自己評価や承認欲求ばかりに捕らわれていました。

自分以外の他の誰かのことに向き合う自信がありませんでした。

リーダーに必要なことは何か、管理職って何をするのかが分からなくて本を何冊も読みました。でも、インプットばかりで実際に行動ができずに時間だけが過ぎていく日々。

山本五十六の言葉と出会えたことで、今の自分の弱点に対するヒントになるのでは?と直感しました。

後輩が入れば、自動的に嫌でも誰もが先輩です。

管理職として役職に就く人もいるでしょう。

今までは、自分で成果を挙げることが評価をされることだと信じていました。でも、後輩が入ってきたら違います。

中には個人プレーで評価されるという人もいるかもしれません。しかし、多くの会社は後輩・部下を育てることを求められます。

では、なぜ、会社は人を育てる必要があるのでしょうか。

人を育てることは仕事でどんな成果を出すよりも、自分が成長できる一番の方法だからだと私は考えます。

会社にとって大事なことかもしれませんが、回り回って必ずかえってくることなのです。

自分でやったほうが早い、ミスも無いと思う気持ちが強いために仕事を人に振ることができないでいるということはありませんか?

確かにミスなく迅速に結果を出すことができるかもしれません。

でも、一生あなたは今の仕事をやり続けるのでしょうか。

結婚、出産、育児、介護、病気とライフスタイルの変化は誰にでも起きます。今の立場で一生あり続けるという保証はどこにもないでしょう。

自分の持っている仕事を、他のメンバーが替わりにできないという状況が果たしてよいことなのでしょうか。会社にとって、好ましい状況とはいえないでしょう。

「仕事を人に取られてしまい存在価値が無くなるのでは?」

「自分でやるほうが早くミスなく処理できる。」

たくさんのネガティブな感情に支配されてしまうことがあるかもしれません。

それでも、あなたが本当に会社のことや周りのことを考えているのなら、右腕となる人を育て次世代に仕事を受け継ぐことが急務なのです。

そして次のステップに向けて新しい挑戦をする攻めの姿勢をもつことが大事なのです。

マニュアルだけで人は育たない

“やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ”

山本五十六の言葉の中でも最もよく知られている一文です。

後輩に、「これやっといて」とだけ伝えてマニュアルを渡して仕事を振っても、あなたが期待する成果は返ってこないでしょう。

仕事をする時の場面は現場によっても様々です。電話応対ひとつをとってみてもマニュアル通りにはできないことのほうが多いです。

わたしの職場は電話対応が非常に多いです。先輩がずっと1コール目で取り続けてばかりいても、後輩は、電話を取ろうとしません。何で取れないのか聞くと、怖くて取れないと言います。

これではいけないと思い、最初のうちは先輩社員が電話を取り、応対話法をみせます。

そして次に後輩に取らせてみます。

取れたことだけでも誉めて、次も頑張って取らせようというやる気を持たせるようにしました。

電話の話し方も先輩のマネで良いのです。先輩の良いところをマネて実践することで、小さな達成感を積み上げていく。そして誉めてのばしてあげる。

人は誉められると、その期待に応えようとしてくれるものです。

電話応対だけでなく仕事の様々な場面で仕事を教える時は、やらせてみること。

失敗してもうまく出来なくても良いのです。良いところをひとつでも見つけて、誉めて伸ばすことを心がけることが大事なのです。

インプット→アウトプット→フィードバックの繰り返しを一緒にしてあげるのです。

「いいね!」は誰でも嬉しい

“話し合い 耳を傾け 承認し 任せてやらねば 人は育たず”

あなたの職場では、後輩や部下と仕事について話し合う機会を持てていますか。

自分だけの意見を押し付けて思うように動かせたと思っていませんか。

はたまた縦割り社会になって話すらせず、後輩や部下が何の仕事でつまずいて不安を持っているのかも知らないということはないでしょうか。

もっと後輩や部下と仕事について話しをする機会をもつ必要性があります。

こんなやり方をしたい、ここをもっとこうしたほうがよいとか部下なりの意見も出てくるかもしれません。そんな時には、否定をせずしっかり話を訊きましょう。

自分が新人だった頃のやり方は、こうだったからと価値観や前例を出して後輩や部下の意見を否定して満足に浸っているようではいけません。

仕事は常に進化します。

新しい発見や可能性は、次世代から出てくることは何も不思議なことではありません。

わたしにとって、部下と話し合いは、自分には無い感性、価値観、アイデアを沢山出してくれ貴重な時間です。

部下から学ぶことが非常に多いのです。

良いアイデアをかたちにして実現させてあげたい!と思うのです。

わたしにとっても部下にとっても話しをして認めてあげることでモチベーションがどんどんあがっていきます。

もっと良いアイデアを出そうと日々の仕事への姿勢も変化しくのがわかります。

毎日、ほんの数分だけでも良いので後輩や部下と話しをする時間をつくることから始めてみませんか。きっと今までとは違う発見が、お互いにあるはずです。

今日も一緒に仕事ができることに感謝

“やっている 姿を感謝で 見守って 信頼せねば 人は実らず”

山本五十六の言葉の中で最も心に響いた部分です。

仕事を任せるようになって、何でこんな簡単なことをいつも間違えるの?
何でそんなに時間がかかるの?

とついついイライラしてしまう時があります。

そんな時は、この言葉を思い出すようにしています。

正直に言うと、今まで後輩や部下に感謝の気持ちを持つなんて頭にありませんでした。

自分がピンチな時、人から助けて貰えれば誰でも感謝の気持ちは芽生えます。でも山本五十六の言葉の意味は違います。

「一緒に仕事をしている」ただそれだけのことに感謝するのだと、わたしは解釈しています。

自分の後輩や部下として出会えた奇跡に感謝。
今日も一緒に仕事ができる奇跡に感謝。
自分の仕事を覚え、任せられるようになった奇跡に感謝。

当たり前の日常は奇跡の連続なのではないでしょうか。

だから感謝できるのです。

感謝という言葉が胸にあれば後輩や部下に対する態度はちがってくるはずです。

ついつい、箸の上げ下ろしにまで口を挟んでしまいたくなる。

逆に、忙しくて放ったらかしになっている

そんなふうに思ってしまう人は、ぜひ感謝という気持ちを思い出してみてください。自然と相手を見守ることができるようになり、信頼できるようにもなります。その信頼は教えられた人から教えた人への信頼に変わるのです。

感謝の気持ちがもてる人は、どんなに仕事ができて優れた人よりも一番素敵だと思います。

自分をつくらず等身大でいよう

「ちゃんと育成しないと!」と意気込みすぎてしまうと、どうしても肩に力がはいってしまいます。

相手は年齢も違えば価値観もまったく違います。

今の若い子は!とか、自分から考えて動いてくれない!と自分の若い頃をついつい棚にあげて怒ってしまう時があるかもしれません。

そんな自分に自己嫌悪になってしまい、後輩との距離感がわからなくてうまく接することができないと悩むことがあるかもしれません。

または、遠慮して言いたいことを言ない人もいるかもしれません。

そんな時は、無理に自分をつくらないことが大事です。カッコつけて、出来る先輩像を追い求める必要はありません。ありのままで構わないのです。

わたしも、等身大でいようと思えるようになってからは、心がとても軽くなりました。

そして、山本五十六の言葉を思い出すことで部下と正面から向き合えるようにもなりました。

「ありがとう」

という感謝の気持ちとともに、これから先も後輩、そのまた後輩へと未来に伝えていきたいです。

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