受講前の私
「言葉の表現が面白い」
「どうやったらそんな発想が思いつくのか」
きっかけはSNSで交流していたフォロワーから、私の投稿に寄せられたコメントだった。この経験が「言葉を使って、人の心を動かすことができるのかもしれない」という可能性を感じさせ、私はWebライターの道を歩みだした。
その後、取材ライターへとフィールドを変え、案件獲得に挑戦する日々であったが、なかなか思うように進まなかった。クラウドソーシングでの案件応募・受注というスタイルが、どうもしっくりこなかったのである。私としては、信頼関係を築いた先に仕事につながるというパターンが合っているのではないかと感じていた。しかし、そうしたチャンスは簡単に巡ってこない。
「仲間内で協力してライター活動ができる環境があればいいのに」そう思っていた矢先、以前受講した取材ライター講座の同期から、「大阪ものかき隊」の存在を教えてもらった。大阪に拠点を置くコミュニティであり、滋賀に住む私にとっても、リアルでものかき隊の方々と交流できる機会があるかもしれない。
つながりが欲しかった私にとっては、またとないチャンス。ものかき隊の執行部の本田隊長とも事前に面談をさせていただき、じっくりとお話をした上で入隊を決意した。
3ヶ月間の基礎講座での学び
4月から始まった基礎講座は、3ヶ月間で3回のカリキュラムが設定されていた。それぞれが深く、そして私のライティング観に大きな変化をもたらした。
クリエイターか商業ライターか
1回目の講座で特に印象的だったのは、自分が「クリエイター」と「商業ライター」のどちらのタイプなのかを考えるワークであった。
商品の説明文を書く課題。もう一方は、最近1ヶ月にやったことを書く課題で、いわゆる自由テーマだ。どちらも時間配分は同じで「スタート」で書き始めてみると、明らかに差が出た。テーマを自由に設定して書いた方が、筆が驚くほど進んだのである。
このワークは自分がクリエイター向きか商業ライター向きかを測る上で参考になるらしい。今まで漠然とライティングしていたが、具体的なワークを通して「私はクリエイターの方向で書いてみたい」という確信に変わった。自分の状態を客観的に知ることができたという点において、非常に意義のあるワークだったと感じている。
マーケティング:新たな視点と集客思考
私がこれまでに読んだ本の中でのマーケティングの定義は、「売れる仕組みを作る」であった。しかし、本田隊長の見解はまた別の視点からアプローチしたもので、私にとっても大きな気づきがあった。
「ほしい人に、ほしいタイミングで、ほしい情報を伝える気持ちと行動」
それが本田隊長のいうマーケティングの定義である。そこを押さえることで自分の商品は売りやすくなる、という論理は腑に落ちた。
ここでのワークは、マーケティング思考で架空のレストランの集客をした。同期とアイデアを出し合ってみた結果、自分は企画よりも発信の方が得意なのかな、という新たな気づきもあった。ここでも、ライターとしてのスキルだけでなく、自分への理解がさらに深まったように感じている。
成功の定義を決める:キャッチコピーと壮大なミッション
最終講座は、これまでの総まとめである。そしてついに、自身の「キャッチコピー」を決める時が来た。本田隊長からは「基礎講座の3ヶ月間で、ゆっくり決めればいい」というお言葉をいただいており、自分と向き合うことができた。
自分がどんなライターとして活動していくのか。まず自分の世界観を決め、その世界観を定めたことで自分の人生がどう変わるのか。そして何をもって成功と位置づけするのか。これが基礎講座の最大の目的である。
私の世界観は、最初にライターになろうと思った時と変わっていない。
「言葉を使って人を笑わせること」
それが私が文章を書く意義だと考えている。そして、常にオモロイことに挑戦していきたい。
みんなが笑い合える世の中になれば、争いはなくなるはず。国家間の戦争だってなくなるんじゃないだろうか。笑いには無限の可能性があると信じている。
そして、常にオモロイことに挑戦していけば、人生がより豊かになる。ライティングと笑いを掛け合わせた、私にとっての壮大なミッション・インポッシブルである。テーマが大きいからこそ、よりやりがいも感じられるしワクワクする。
環境の力がもたらした3つの変化
「環境が人を作る」とはよく言うが、まさにその言葉通り、大阪ものかき隊のコミュニティでそれを体感できたことが3つある。
見える化を実践する
ものかき隊のコミュニティで特に意識改革されたのは、「オンラインジム」の存在である。これは、コミュニティに所属している人たちが、自分が何をどれだけ書いたかを公表する掲示板のようなものである。
今まで、他の人がどれだけの量を書いているかなんて全く知らなかった。しかし、オンラインジムを通じてさまざまな人の活動状況を知ることができ、私自身の基準値が上げられた。
これぞまさに環境の力だ。自分一人ではなかなかモチベーションが上がらない時でも、頑張っている人たちの様子を見ると、自然と自分の手も動く。
時給思考を持つ
今まで記事を仕上げるまでの時間を測ることはしていたが、「〇〇時間で書ききろう」という発想をしてこなかった。つまり、執筆時間が長くなればなるほど、反比例して自分の時給は下がってしまうということなのである。だからこそ、自分で決めた時間内で書き切ることが重要なのだ。
松竹梅理論
本田隊長のご厚意で、個別にオンライン相談の機会を得た。そこで出てきたことの一つに「松竹梅理論」というものがある。これは、提供するサービスや商品の値段によって、クライアントの期待値をコントロールするという考え方である。
初心者のライターが陥りがちなのは、どの値段の案件でも最高級の品質で届けようとしてしまうことである。その結果、執筆スピードが遅くなり、クライアントの満足も得られにくくなってしまうことがある。これは単に手を抜けばいいというわけではなく、クライアントが何を求めているのかをよく考え、そのニーズに合わせて適切な品質とスピードで納品することの重要性を示している。
ライターに限らず、ビジネスをする上で必要不可欠な考え方であると強く感じた。
卒業してこれからどうするか
3ヶ月間の活動を通じて、「内なる自分の思いを書くクリエイター」へ進みたいと思えてきた。どんなジャンルにも完璧に対応できるのが理想だが、人間には向き不向きがある。だからこそ、自分の強みを生かしたライティングを選択し、尖らせていきたい。そのためのキャッチコピーなのだ。
卒業後は、自分のキャッチコピーであるオモロイことを実現するためにも「人とのご縁」は大切にしていきたいと考えている。なぜなら、オモロさとは人と共有することによって得られるものだと心底感じているからである。大阪ものかき隊の皆様とも、仕事を通してオモロイ人生を共有していければ幸いである。