どーも、発達障害ライターのスンダヴです。
発達障害と診断された場合、相談できる場所がないのが当事者の悩みです。友人や家族に相談してもいまいち理解されず、病院でも薬だけ渡されて後はご自由にと冷たい対応をされる…というのも珍しくありません。
「別に普通じゃん」「甘えなんじゃないの?」と言われ、相談することもままならず、孤立してしまう当事者もいます。
そんな時は、自助会に参加してみるといいでしょう。
自助会とは、発達障害の当事者たちが集まり、情報公交換や悩みの相談を行える集会です。「発達障害 自助会」と検索すると、様々なイベントが開催されているのが分かります。発達障害の事を共に理解しあう仲間たちと語ることで、生きるためのヒントが見つかるかもしれません。
今回、私は大阪で活動する自助会の一つ「大阪の片隅でADHDを語る会」を主催するレンタルADHDおじさんことケンジさんに話を伺うことができました。
レンタルADHDおじさんことケンジさん
約2時間弱と短い時間でしたが、自助会を主催した理由から発達障害の将来まで中身は非常に濃密です。発達障害と診断されてどうしたらいいか迷っている方、自助会に参加してみたい方はぜひご覧ください。
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自助会の成り立ち
テーマ:自助会「大阪の片隅でADHDを語る会」とは
スンダヴ:
それでは、主催している自助会について簡単に紹介してください。
ケンジ:
僕の主催している「大阪の片隅でADHDを語る会」は発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)の方を対象とした自助会です。
発達障害全般や自閉症を語る会はすでにあったので、自分の症状でもあるADHD特化の自助会にしてみました。
西成区で開催しているので、通称「西成」と呼ばれています。人数は日にもよりますが5~15人程度で、特にテーマを決めず自由に話し合うのが主な活動です。
スンダヴ:
西成区で開催する理由はなんですか?
ケンジ:
西成区、と聞くと悪いイメージを思い浮かべる方もいるのですが、交通の便がいいんですよ。特に、肥後橋や本町あたりのビジネス街で働いている方々が来やすいというメリットがあります。
スンダヴ:
場所選びにも戦略があるんですね!開催する日時は決まっていますか?
ケンジ:
2週間に1回、平日の夕方に開催しています。土日は発達障害を開催されているところが他にもいろいろあるので特にしていません。曜日はバラバラにしています。アンケートを取った結果、皆金曜日がいいと言うので固定したこともあるのですがすぐに辞めました。
スンダヴ:
それはなぜですか?
ケンジ:
人が特に増えないんですよ(笑)。アンケートではみんな希望していたのに不思議ですね。ツイッターで宣伝した時、リツイートがいつもより大幅に多い日があっても来る人はたいして増えなかったこともあります。どうやったら実際に来る人が増えるのか、は自助会を開く人特有の悩みですね。
スンダヴ:
どうして自助会を開こうと思ったのですか?
ケンジ:
僕は29歳でADHDと診断されました。その後、他の人が主催している自助会に行ってみたのですが、正直面白くなかったんですよ。
暗い、ネガティブ、しゃべられへんって感じの所が多かったんです。自分でやってみた方が明るい・楽しい雰囲気でできるんじゃないかなって思ったのでだから自分で作ろうって思ったんですよ。
自助会「大阪の片隅でADHDを語る会」の特徴
スンダヴ:
自助会「大阪の片隅でADHDを語る会」の活動について教えてください。
ケンジ:
僕の自助会は「楽しい」をコンセプトにしています。特に、自助会自体初参加という方は大事にしています。
スンダヴ:
それはなぜですか?
ケンジ:
初参加の方は、ある種こういった自助会に参加するのに抵抗がある方が多いと思うんです。そんな方が僕の会で嫌な思いをすると自助会自体に参加しなくなってしまう。
発達障害当事者が自助会に参加することは、人生にとってプラスになると思うので、「また来たい」と思ってくれるように心がけています。そのための武器として、「楽しい」をテーマに会を運営しています
スンダヴ:
「楽しい」が自助会全体を貫くテーマなんですね。
ケンジ:
明るくポジティブで、みんなが自分たちの失敗をいい意味で笑いあえるように心がけています。そのためにも、まずは自分が真っ先に笑います。リピーターも多いので、「楽しい」と感じてくれている方も多いのだと感じます。
スンダヴ:
「楽しい」を追及する上で心がけていることは何ですか?
ケンジ:
無難すぎる話し合いにしないことです。結構、つっこんだ話もします。「楽しい」と書くとみんなが楽しめるように配慮して…となりがちなんですが、誰にとってもまんべんなく楽しい会って、誰にとってもつまらない会だと思います。
スンダヴ:
自助会に参加してほしい人のタイプはありますか?
ケンジ:
誰が来てもいいし、何を感じてもいいと思っています。最初の頃は「あの人は楽しんでくれなかったのかな、あの人は怒ってしまったのかな」と気にしていたのですが、最近は思わなくなっています。
もちろん、楽しんでくれるのが一番いいですが、最終的に決めるのは個人の自由だと思っています。
「レンタルADHDおじさんサービス」について
スンダヴ:
ケンジさんは自助会だけでなく、「レンタルADHDおじさんサービス」も展開していますよね。詳しくお聞かせください。
ケンジ:
ツイッター上で希望者を募り、その人の希望に最大限沿うサービスです。
話を聞くことから買い物までなんでもするサービスです(笑)
難波駅からの交通費と、かかった場合には飲食代をいただきます。自助会を開いているためか、サービスを利用するのは発達障害当事者とその関係者の方々がほとんどです。
スンダヴ:
どうして、そのようなサービスを始めたのですか?
ケンジ:
自助会を開いて活動する中で、なにかキャッチフレーズが欲しいなと思ったんです。いろいろ考えた末に、「ADHDレンタルおじさん」なら面白いんじゃないかと思いました。
後、発達障害の当事者の方って「とにかく自分の話を聞いてほしい」という人も多いんですよ。自助会とは違う形で、そのような方のニーズに沿えると思いました。
スンダヴ:
何か印象に残ったエピソードはありますか?
ケンジ:
女性の方からボディソープを買ってほしいという依頼を受けたことがあったのですが、その際「わからないことがあったら聞いて」と電話番号を教えられたんです。
実際に買いに行った際、わからないことがあったので電話してみると、まったく別の男性が出てきました。女性が番号を間違えてたんですよ。あの時は焦りましたね。
スンダヴ:
このサービスをどんな理由で頼んでほしいですか?
ケンジ:
悩む理由はなんでもいいです。むしろ悩まずに頼んで来てほしいです。
ケンジさんが考える発達障害の今後
スンダヴ:
発達障害の認知は徐々に進んでいますが、ケンジさんは今後どうなると思いますか?
ケンジ:
僕はみんなが思っているほど受け入れられないと思います。
スンダヴ:
と、いいますと?
ケンジ:
日本はここ最近急に「マイノリティを理解しよう」キャンペーンを展開していると僕は感じます。LGBTに関してもそうですよね。それは、今までそういった問題に対して関心を払ってこなかったことへの贖罪をしようとしているのだと感じます。
でも、結局反動が来てキャンペーンは長続きしないでしょう。
スンダヴ:
その場合、僕含む発達障害当事者はどう生きればよいでしょうか?
ケンジ:
まず、「自分は自分が思ってるよりダメな人間じゃない」ということに気付いてもらいたいと思います。
僕も昔、仕事がらみでボロボロになったことがあるのですが、その時「世界で一番自分を低評価しているのは自分」だということに気づいたんです。仕事のミスとかも、周り以上に自分で自分を責めているんですよ。
スンダヴ:
確かに、僕にもそういうところはあるかもしれません
ケンジ:
自分を追い込むのは、結局は自分なんです。だから、みんなにはまずポジティブでいてほしいと思います。その方が人生で成功する確率も絶対に上がる。開き直るぐらい明るく生きようぜ!と思います。
スンダヴ:
今日は本当にありがとうございました。この記事を読んでくれた方に向けて、最後に一言お願いします。
ケンジ:
こんなただのおっさんの記事を読んでくれてありがとうございます。
大阪の片隅でADHDについて話す会
開催日時:平日18時30分~21時30分(不定期)
場所:大阪西成区民センター 〒557-0041 大阪府大阪市西成区岸里1丁目1−50
参加資格:ADHD当事者(診断の有無問わず) 家族・支援者等
料金:700円(飲食代含む)
参加方法:申し込み不要、入退場自由、遅刻歓迎
ブログ: https://gido6.hatenablog.com/
Twitter: https://twitter.com/gido06