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「発注側」でもある会社員ライターが思う、ライターとクライアントの歩み寄りのすすめ

WEBライターの本田もみじです。ランサーズやクラウドワークスなどの「クラウドソーシング」を足掛かりとしてWEBライティングの世界に飛びこみ、現在は主にブログやマーケティング関連のライティングを受注し、生計を立てています。

また、私は人事系ベンチャーでコンテンツマーケティングを担当する会社員でもあり、クラウドソーシングを利用して数名のライターさんに発注をしています。おかげさまで私だけで記事を書いていた時期より3倍速でメディアが回るようになってきました。かかわってくださっているライターさんには本当に感謝です。

さて「発注側」に立って改めて気付くのは、クライアント側にある「さまざまな事情」。

今までは、受注側の世界しか見えていませんでした。しかし匿名でやり取りするクラウドソーシングだからこそ、もっともっと「発注側と受注側の歩み寄り」が必要ではないか…と、発注をしながらしみじみ思うわけです。

そこにボタンの掛け違いがあれば、いつまでたっても発注側は「クラウドソーシングは使えない」と思ってしまうし、受注側も「地雷クライアントばかり」とネガティブにならざるを得ません。

まあ、その構造について大上段に語っても仕方ありません。これを現場レベルで解決するため、今回は「募集案件の変更」「メッセージの頻度」の2つに的を絞って書かせていただきます。

目次

募集の内容は分単位で変わる!

私はWEBライター養成講座の講師もしていますが、クラウドソーシング初心者の方から受ける質問で多いのは、これ。

「応募した案件がキャンセルになっていたのですが、これはどういうことですか?」

分かります。不安ですよね。ようやく書いて送った提案文。じりじり待つこと数週間。メールに届く「提案した案件はクライアントの都合によりキャンセルされました」の文言。

なんでやねん!

朝令暮改のメディア制作現場

私も受注だけしていたときは、このようなクライアントは「地雷」と認識していました。

しかし発注側になってみると、キャンセルが生まれる理由がめちゃくちゃ分かります。悪意も敵意も搾取する気もありませんが、とにかくメディア制作の現場は、朝令暮改は当たり前、先週出した「案件の募集内容」は今週にはマルっと書き直したくなるくらいに、動きが早いんです。

「そもそもメディアの立ち位置を見直すことになった!先週出した依頼を取り下げろ!」
「コンセプトを再度練りこんで、予算見直して、来月に再発注だ!」

キャンセルに憤りを感じているライターさんは、そんな裏側のバタバタを想像のうえ、次月に新規募集が出ているのを発見しても「このクライアント、先月キャンセル出したのに…悪い会社に違いない!」と思い込まないでいただきたいな、と思います。

キャンセルにこだわるな

ついでにいうと、1件のキャンセルで落胆しているようではクラウドソーシングでは稼げないので、サクサクと数十件の提案をしましょう。

エントリーシートを1社しか出さないのに、就職が決まらないことをその会社のせいにされては、たまったもんではありません。ただし選定期限が過ぎても連絡をせず、結果案件がキャンセルに…というクライアントもいることはいます。それこそ「ハズレ」ですね。深く考えずに次にいきましょう。

当初予定と違う内容の仕事が、ボコボコ生まれる世界

また、このような質問もよく受けます。

「募集が終了し、落ちたようなのですが、クライアントから別の仕事の相談に乗って欲しい…とメッセージがきました。それってアリですか?あやしくないでしょうか?」

分かります。選ばれなかったのにどうしてオファーが来るの?受けていいの?いったい、何をさせられるの?ってパニックになりますよね。しかしこれも、発注側にしてみると「当たり前」の行動です。

まずランサーズに関していえば、ひとつの依頼に対し、ひとりのランサーを選んで、募集を締め切ることになっています。つまり「いいライターがいたら、5名くらいと仕事がしたい」と思い、募集をかけ、社内で5名を選定したとしても、画面上で選べるのは1名。ほかの4名には、募集を締めたあとに個別でメッセージを送り、依頼をするかたちになります。

ので、あなたが「画面上、落ちていた」としても、それを不合格とはいい切れないケースは本当に多くあります。

クライアントの「バタバタ変更」に柔軟に対応しよう

発注側からすると、まずは手探りでも募集をかけてみないと、どれくらいのスキルのライターさんから、どれくらい応募が来るかなんてまったく見えません。

「社長!募集してみたら、結構よさげなライターさんが20人も応募してくれました!」
「意外と使えるもんだな…予定では3人だったけど、5人くらい選ぶか」
「それなら、社長のブログも外注しましょう!週に3本はアップしたいです」
「なら営業用パンフレットのコピーも頼めないか?こっちで手が回っていなくて…」
「ではそれも込みで、10名選びますね。コピー書けるか、メッセージで聞いてみます」
「コピーなら、先月の募集で条件合わなかったセールスライターがいたはず。連絡してみよう」
「じゃあ、予算追加しますねー」

みたいな変更が、1日に何度も行われます。

結果、ライター側は

「電化製品のスペック解説の案件に応募したら落ちたけど、メッセージが来て、社長ブログの代行を頼まれた…」

みたいなことになるわけで。

これを「はじめの内容と違うから不誠実!地雷に当たった!」と取るか、「よしやってみるか…まずは報酬交渉だな、よっこらしょ」と取り組んでみるかは、選ぶ権利はライター側にあります。

もちろん不安なら断ってもいいのですが、柔軟に対応しないと、もったいないですよ。

裏側の仕事を取れ! 書くチャンスは「アホほど」転がっている

現在、多くの会社が取り組んでいる「オウンドメディアの作成」「コンテンツマーケティング」には、本当に雑多な「書く仕事」が付随してきます。

単純な記事の作成だけはありません。

たまたま募集案件の入り口が「スペック解説の記事」だっただけで、その裏側には、メールマガジンの作成、会社コラム、社長ブログ、コピーライティング、ホワイトペーパー作成、SNS用の投稿テキスト作成…と、無尽蔵な「ライターの仕事」が眠っています。

発注側からすると、それらすべてを募集文章に書くわけにはいきません。どうしても「入り口の仕事」の掲載止まりになりますが、「よさそうなライター」がいるのであれば、ぜひその先の相談をして、裏側の仕事をごっそり任せたい!という想いは、ライターの想像以上。

メディアを運営する以上、ある程度の予算は確保していますから、手元の「書く雑務」を任せられるのであれば追加でお金を出してでも頼みたい!という本音を持つ会社は、本当に多いのです。

そこに食い込めるかどうかで、ライターの稼ぎは大きく変わってくるのではないでしょうか。

メッセージ、「どうして遅い!?」の裏側

発注・受注の両方をやっていて悩ましいのが、「メッセージの頻度」の問題。

Twitterなどでは、「3日も連絡がこない、もう信用できない」などというクライアントに対する厳しい意見が散見されますね。

確かに!

分かります。でも、それはちょっと短絡的ではないか…とも思うのです。

不安は理解できる。しかし…

まず、受注ライターとしての私はもともと呑気で、1週間くらいは平気で待てるタイプ。匿名での仕事のやり取りなんてそんなもんだと思っていますし、困るくらいなら催促します。

まあ「納期は末日です」といわれていたのに、1週間前まで連絡が来ない…などという場合は、さすがに催促し、納期延長の交渉をします。また「締め日までに入金確定したい、修正があるなら〇日までに連絡が欲しい、こっちは次はどうすればいいか知りたい」などは結構早めに伝えておくので、そんなに困ったことはありません。

ただし、連絡は早いに越したことは、ない。受注経験から、連絡遅延がいかにライターを不安にさせるかは理解しているので、発注側としての私は「なるはや」で返信をします。

しかし、2〜3日遅れることは、よくあります。

それは私が会社員だからです。

クライアントのほとんどは会社員

会社員といっても1日中PC前にいるわけでもありませんし、もちろん休日もあります。たとえば金曜夕方にきた連絡を、金曜深夜の飲み会後に返すのか?土日に対応すべきなのか?と考え始めると、キリはありません。

会議やイベント、研修に追われる日が続くと、すぐに対応はできかねる週も出てきます。

嬉しいけど困るのは、予定外の日にもらう連絡。

私は「次月分を発注する週」「納期として設定した日の前後」「入金確定日」は自分のスケジュールをあけて待機しています。さまざまな連絡や質問、不備にすぐに対応できるようにです。

しかし「納期より10日早く送ってもらった記事」の対応は、すぐにできるとは限りません。

たまたまPC前にいれば、内容確認してコピペチェックして返信して…という手順を差し込むことができますが、そうでなければ、「記事は受領しました!取り急ぎ!来週確認致します!」的なメッセージが送れたらいい方。下手すると数日お待ちいただくこともあります。

申し訳ないのですが、検収作業が受領日から10日後…ということもあり得ます。
せっかく早く納品していただいたのに、ご、ごめんなさい。

(もちろんクライアントによっては「受け取ったらすぐにアップしたい」会社もあるでしょう。ケースバイケースです。そもそも数記事まとめて受注する場合は、納品頻度を事前確認しておく方がいいですよね。それもせずに「連絡が遅い」といわれてしまうと…発注側として切ない感情が…)

取引先からの連絡が遅かったら、サクッと催促すればいいだけ

いま、ライターにとって「美味しいクライアント」は、良記事にならコストをかけてもいいと考える、きちんとした事業会社でしょう。

そのような会社の担当者は、おおむね多忙です。そして勤怠管理をしっかりしている会社であればこそ、勤務時間外にメッセージのやり取りができないケースもあるでしょう。決してライターをないがしろにしているわけではないはずです。

不安なら、怒る前に「先日のメッセージは確認いただけましたか?」「仮入金はいつになりますか?仕事にかかりたいのですが」と、普通に催促してあげてください。

一般の仕事でも「取引先の担当者から数日返事が来ない」のであれば、まずはこちらから連絡してみますよね。匿名同士、顔の見えない取引だからこそ、ピリピリせずに、おおらかな気持ちで、気持ち良くコミュニケーションを取れたらいいのではないか…と、感じます。

ちなみに発注者としての私は「レギュレーションの内容に関する問い合わせ」は、土日であってもなるべく対応するようにしています。

「よし!週末に仕上げるぞ!」

と意気込んでPCに向かったはいいものの、企画書の内容が汲み取れず、進まない…というのは、書く側としては本当に不幸ですからね。

匿名だからこそ、もっとコミュニケーションを

この記事では、決してクライアント側の「いいわけ」を書きたいのではありません。しかし、両サイドを行き来してみて思うのは、「受注側・発注側ともに、受け身の姿勢でありすぎるのではないか?」ということです。

つまり両者ともが、「相手はこうしてくれるはず、くれるべき」という考えに、縛られているのです。

これが、「クラウドソーシングは使えない」という、両者の残念な思い込みにつながっているのではないでしょうか。

ライターは
不安になるくらいならクライアントにどんどん質問したっていいし、
返信待ってます!って催促したっていいし、
入金を急いで欲しいなら、そう伝えてみればいいし、
表面化してない案件をガシガシ掘り起こしたっていい。

発注側は
もっと分かりやすい募集文を書いて、
ライターを不安にさせないようなコミュニケーション方法を模索して、
自社メディアに的確にコミットしてもらえるよう、頼めばいい。

そして、「クライアント」の立場にある方に伝えたいのは、「コストカットを目的にしてクラウドソーシングを利用する以上、もっと伝える努力をしよう!」ということ。

そこにコミュニケーションコストを使えないなら、毎週来社してくれる専属プロライターを雇った方が、クオリティ高い納品物が手に入りますよ、確実に。

ライターは、受け身にならず、もっとクライアントをうまく転がしていいと思います。「こんなん書きますよ…」「こんな風にしたらどうでしょう…」という提案で、メディアがうまく回るなら、ホイホイお財布開く事業会社、めちゃくちゃありますよ!

「指示が分かりにくい」「連絡が遅い」の裏をうまく読み取って、コロンコロン転がしてみましょう。クライアントは自分では書けないから、外注しているのです。

まとめ

クラウドソーシングの仕事に限らず、「相手はこうしてくれるべき」と思っている以上、いい縁を逃し続けます。

メディアの作成という、いま最も活気があって、スピードを求められる仕事の「最前線」にいる私たち。匿名同士であっても、顔が見えなくても、一緒に「いい仕事」をするのは可能なはず。

そして、歩み寄りの姿勢を見せるのは、ライター側にこそおすすめしたいです。

なぜなら!
歩み寄ることで、お金をもらえるのは、ライターだからです!

商業ライターとは、「言葉の力で相手のお財布を開かせる人」

クライアントの心をくすぐるコミュニケーションで、予算をガンガン引っ張り出していきましょう。それは、クラウドソーシングを、WEBの世界を、もっともっとよくする行動でもあるはずです。

おしまい。

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