皆さん、こんにちは。元イタリアンシェフのジーンイケダです。
3月に入り、少し春の気配を感じられるようになりましたね。今回は、そんな春には欠かせない「花見」と「桜」について話そうと思います。
奈良時代の花見は梅・平安時代より桜に
まずは歴史を振り返りましょう。
奈良時代の「万葉集」では、桜を詠んだ歌が43首なのに対して、梅を詠んだ歌は110首以上あり、梅の人気が高かったことを示しています。
しかし、平安時代の「古今和歌集」には、桜を詠んだ歌が70首、梅を詠んだ歌が18首となり、桜に人気が移っています。
このように、中国伝来の梅よりも日本古来の桜が注目されるようになった理由として、遣唐使の廃止で中国の文化の影響が少なくなり、国風文化が発展したことがあると思われます。
花見の桜はソメイヨシノ
お花見の桜と言えば「ソメイヨシノ」ですが、これは「エドヒガンザクラ」と「オオシマザクラ」を交配した観賞用の改良品種です。江戸時代末期に江戸郊外の染井村で産み出され、明治時代に全国に広まりました。
「エドヒガンザクラ」の花の後に葉が出てくる特徴と、「オオシマザクラ」の花が大きい特徴を受け継いでいます。ですから「ソメイヨシノ」は、満開時に葉は付けずに、花が大きく引き立つのです。
そして「ソメイヨシノ」は単一の木のクローンなので、種子による繁殖ができません。
元樹から切った枝を地面にさして増やす「挿し木」、他の桜に接いで増やす「接ぎ木」という方法で増やします。自然繁殖ではなく人の手を加えないと増えません。
また、クローンですから、全国にある「ソメイヨシノ」は春が来ると一斉に咲きます。(地域による開花時期の違いは、緯度や標高による気温の差で生じます。)
桜が日本人に愛されるわけ
人気がある理由として、「春の訪れを華やかに告げてくれる」「夜になってもしぼまずに夜桜も楽しめる」などがあり、一番の理由として「満開になったときの美しさだけでなく、たった10日ほどで散ってしまう潔さ」が、武士道を重んじてきた日本人に愛されているといわれています。
日本を南から北へ上る桜前線
日本で最も早く開花する桜は、沖縄の「カンヒザクラ」(寒緋桜)です。例年では1月上旬ごろに咲きますが、暖冬の時は12月に咲くこともあります。
最も開花の遅い桜は、北海道の根室地方で5月中旬くらいに咲く「チシマザクラ」(千島桜)です。この「千島桜」は、標高の高い旭岳ロープウェイの山麗駅(標高1100メートル)では6月半ばくらいにならないと咲きません。
このように開花日を追って、沖縄県から北海道までを上っていくのが「桜前線」です。
もともと「桜前線」という言葉は気象庁には無く、「桜の開花等期日線」と言われていたものが、呼びやすい言葉として「桜前線」と言われるようになり、響きが良いのでキャッチコピー的に浸透したのです。
この「桜前線」は、平地の場合1日に約30km北上するようです。
開花・満開の定義
開花:標本木で5〜6輪以上の花が開いた状態
満開:標本木で80%以上のつぼみが開いた状態
それぞれの状態となる最初の日を開花日、満開日として予想します。
桜の開花時期は、前年の秋から、年を越した春にかけての気温が大きく影響します。
桜の花芽は前年の夏に形成され、その後、休眠に入ります。冬になって一定期間の低温にさらされると、花芽は休眠から覚めます。
そして気温の上昇と共に成長し開花しますが、気温が高いほど花芽の成長が早く進み、開花が早まります。
今年の開花予想
今年2019年の桜は、全国的に平年よりも早く咲きそうです。
私の住む大阪では3月25日が開花予想、4月2日が満開予想となっています。
引用元 https://sakura.weathermap.jp/area.php?city=Osaka#week10t
日本の三大桜と三大名所
日本には「三大桜」と「三大名所」が存在します。
三大桜
山高 神代桜
山梨県北杜市武川町山高の実相寺境内にある「ヤマタカジンダイザクラ」(山高神代桜)です。樹齢は1800年とも2000年ともいわれています。
根尾谷 淡墨桜
岐阜県本巣市の淡墨公園にある「ネオダニウスズミザクラ」(根尾谷淡墨桜)は、樹齢1500年以上と推定される「エドヒガンザクラ」の巨木。
三春 滝桜
福島県田村郡三春町にある「ミハルタキザクラ」(三春滝桜)は、樹齢1000年超と推定される「ベニシダレザクラ」の巨木。
三大名所
青森県の「弘前公園」
青森県弘前市下白銀町1-1
樹齢100年を越す「ソメイヨシノ」が400本以上あり、多くの専門家から管理技術が日本一と称されている。
長野県の「高遠城址公園」
長野県伊那市高遠町東高遠
やや小ぶりで赤みを帯びた花形で可憐な花を咲かせる「タカトオコヒガンザクラ」が1500本以上植えられており、古くから、天下第一の桜と称されている。
奈良県の「吉野山」
奈良県吉野郡吉野町吉野山2430(吉野山観光協会)
吉野の桜は花見のためではなく、山岳宗教と密接に結びついた信仰の桜として現在まで大切に保護されてきました。4月の上旬から中旬にかけて3万本ともいわれる「シロヤマザクラ」が豪華絢爛に咲きみだれます。
桜にまつわるトリビア
終わりに、花見のとき、話のネタになるよもやま話をいくつか見つけたので記しておきます。
今年も友達や会社の仲間を誘い、お弁当を持って、気持ちの良い花見を楽しみましょう。
・桜の花は、開花する前年の夏には、冬芽(とうが)の中でスタンバイして咲き誇る日を待っている。秋の暖かい日に咲いてしまう狂い咲きが起こるのはこういう理由。
・満開の桜が、暗闇の中で周辺をほんのりと明るく照らしているように感じられる様を「花明かり」と呼ぶ。風情ある美しい言葉ですね。
・満開になって舞い散る桜を「零れ桜(こぼれざくら)」、水面に散った花びらが風に吹かれて流されゆく様を「花筏(はないかだ)」という。散ってなお楽しむ風流な心を感じます。
・川沿いに桜が多く植林されたのは、根を張らせ弱い地盤を固くするため。また、桜を見に来る人の重さで、さらに地盤が固くなる効果も期待。
・桜は人を狂わせるという言葉の通り、桜の花粉には興奮を誘発する「エフェドリン」という物質が含まれています。