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思い込みと家事を捨てよ、二拠点暮らしを始めよう

二拠点

この秋から二拠点暮らしを始めている。
賃貸の自宅と、大阪都心のホテル。

ホテルは会社から地下鉄ですぐ、徒歩でも15分圏内だ。

この10年、奈良から大阪に通勤してきた。現在勤務する会社は、奈良からでもドア to ドアで55分。わざわざ二拠点目を持つまでもない距離なのは分かっている。でもどうしても、二拠点暮らしをしてみたかった。

二拠点暮らしをしているというとたくさん質問がやってくるので、それなりに興味を持つ方が多いのだろう。私なりの理由やメリットデメリットを書いてみようと思う。

目次

二拠点目に選んだのは「ホテル暮らし」

まず本田の現在の環境を書いておく。

・独身
・賃貸住まい(奈良)
・フルタイムの会社員(大阪)と、個人事業主のパラキャリ

二拠点暮らしの目的も書いておく。

・通勤時間の短縮
・家事時間の短縮
・仕事とプライベートのメリハリ
・憧れの実現

2021年の夏から秋にかけ、シェアハウス、事務所契約、マンスリーマンション…さまざまなサービスやライフスタイルを模索した結果、いまは月額でホテルに滞在できるホテルパスを使っている。

ホテルパスの概要はこちら

これで、通勤時間は55分から大幅短縮された。

それから私には、「家事を捨てたい」という大きな動機があった。いろいろ背景はあるが、本当に家事がしたくないのだ。だからホテルがベスト。毎日掃除をしてもらえるし、毎日ふかふかのタオルが用意されている。最高オブ最高でしょ?

行き来の頻度は?

ざっくりだけど、今は「大阪6泊、奈良1泊」の割合で暮らしている。自宅に帰るのは週末とは限らない。

会社がフルリモート&フルフレックスOKだからこそ可能な技だけど、水曜の朝に奈良に帰って役所や病院や美容室などの雑用をこなしつつ仕事をして、他の日に不足の勤務時間をリカバーすることもある。

でも、できれば「大阪ではみっちり仕事をして、奈良では仕事をしない」というスタイルを目指したいので、週末に帰るサイクルがベスト。

ちなみにホテルは月額で借りているので、奈良に帰った日も費用は発生する。だから数泊の旅行などは行きにくい。行ってもいいけど、損した気にはなる。とはいえ奈良の賃貸の家賃も発生しているので、損得で考えていては気持ちの自由度が下がってしまう。だからあまり考えないことにした。

洋服と洗濯は?

洋服は、最低限の4セットだけをホテルに置いている。日々顔を会わせるのは会社のメンバーだけだし、社外打ち合わせもオンライン&普段着だし、問題ない。着飾って飲みに出る機会などほとんどなくなった。これはコロナ禍のもたらした大きな変化だ。

洗濯はホテルのコインランドリーを使う。1回500円というコストをどう捉えるかだが、私は格安だと考えている。着る洋服が少なければ洗濯の回数も減るし、時間をお金で買える。ニット類だけはクリーニング屋に持ち込むか、自宅に帰るときに着て帰って手洗いをしている。

自宅ではバスタオル、下着、毎日毎日とっかえひっかえ着ていた洋服…なぜか大量の洗濯ものが発生し、それを素材ごとの洗い方・干し方でケアする毎日だった。本当はそんなことをしたくなかったのに、それが当たり前だと思い込んでいた。

食事は?

一番のネックは食事。ホテルの周りには飲食店がたくさんあるので食べる場所には困らないが、カロリーと食費は増える。あとフレッシュなものが食べたくなる。(やたらにミカンを買うようになった。包丁不要のビタミン源)

週に1度の自宅dayでは「納豆ご飯とお味噌汁」とか「野菜たっぷりのカレー」とか「一人鍋」とかそんなものをつくって食べるけど、材料を使い切らないといけないので意外と頭を使う。

家事を捨てたい捨てたいといい続けてきたが、好きなタイミングで、食べたいものを料理をするのは大好きだ。「自宅dayは、週に一度の料理を楽しむ日」と思えば、不思議とQOLがグッと上がった。

費用は?

大阪だからかもしれないが、よく聞かれるのが「いくらかかってんの?」。

奈良と大阪を合わせた金額を「家賃」とするなら、今までの2.5倍かかっている。ただ個人事業としての経費に多少計上できるし、大阪都心でそれなりの一人暮らしをすることを考えると、それよりは安い(奈良の家賃が格安なのも大きい)。

そして何より、コスパとかそういうこと以上に「暮らしたい暮らし方」「使いたい時間の使い方」「自分がご機嫌にいるためのライフスタイル」が手に入ることにメリットを感じている。だって、そのために私たちは働いている。

個人的な事情と気持ち

記がホテルとの二拠点暮らしの概要。ざっくりどんな感じか知りたい方は、ここまで読んでいただいたら十分だと思う。ここからは少し個人的な事情や、気持ちを書いていく。考え方には個人差があるので、多くの人の参考になるかどうかは分からない。

まず私は、会社員と個人事業主のパラキャリ生活に入ってから、ずっと大阪にオフィスを構えたいと思っていた。コンパクトで、仕事に集中できて、夜遅くなったら泊まれる自分だけのオフィス。

会社はフルリモート&フルフレックスなので、行きたくない日は行かなくてもいいし、寝過ごしたり二日酔いの日は午後から出社すればよいという、とてもありがたい自由度の高い環境にいる。だが致命的なことがある。私は、「自宅では仕事に集中できない」。

参考記事|「今日、どこで書く?」 脳内でウィンドウがパカパカしているライターの、脳内環境と執筆環境

だからカフェ、コワーキングスペース、会社、旅先をぐるぐるしながら働くのが性に合っていたが、効率がよいともいえない。そして私はもっと仕事がしたい。もう若くもないので、環境をととのえて、よい仕事がしたいのだ。

悩みに悩んで「家事をできるだけ捨てる。仕事とリラックスの環境を分け、メリハリを付けるために大阪に事業用のオフィスを借りる」という方向性を決めたころ、コロナが流行し始めた。

コロナ禍で知る、家の大切さ

コロナ禍は私の気持ちをどんどん揺らがせる。

家に閉じ込められたままの生活。私は1日1回は外に出ないと気が滅入るタイプで、家では集中できない。でもするしかない。辛いなあ…と思いながらも、これまでにない意識も芽生えた。

「自分の家」って、命を維持するためにはやっぱり必要なんだな。

自らの意思に反して人と会えず、外に出られず、社会変化に翻弄されるとき。外界から身を隠して寝ていられる「自分だけの密室」がないのはやっぱり困る。

シェアハウスや借り暮らし、居候もぜんぜんOK!と思って生きてきたが、そうではないことに気付かされた。

GoToトラベルの恩恵

コロナ禍では、家の大切さと同時に、ホテルの快適さにも気付かされる。

2020年のGoToトラベルで大阪の都心ホテルは軒並み価格を下げ、1泊2,500円程度でキレイなビジネスホテルが予約できた。時期によっては1,000円のクーポンが返ってきたから、実質1,500円で宿泊できる。これは奈良⇔大阪の往復交通費とほぼ同額なので、2020年秋以降、週に2回はホテルに泊まっていた。時短になるだけではなく、満員電車に乗らなくていいのもありがたかった。

そのとき痛烈に「自分のベースとなる家と、仕事をする環境を明確に分けた暮らしがしたい」と感じた。事務所契約は、社会変化が激しすぎてリスクがある。それより二拠点目にするなら、ミニマムな暮らしができて、バッグ1つでいつでも解約できるホテルの方がずっと安心安全だ、と確信した。

若い日の憧れ、時代が私に追いついた

そもそも高校生の頃からアドレスホッパーという生き方に憧れていた。といっても当時そのような言葉があったわけではない。何となく、「放浪の旅」とか「流浪のジプシー」というものに憧れを抱き、小さなバッグひとつで世界中をふらふらしながらものが書けたら、どんなに素晴らしいだろうと心を躍らせていた。

当時の日記には、鼻息荒い筆致で「大人になったら住所不定の暮らしをする!」と書いてある。

でも当時(1990年前後)は、そんなことをいうと変人扱いされていた。大人になったら結婚して、マイホームを買うのが当たり前。丁寧で、いい家具を買う暮らしが目指すべきライフスタイル。

残念ながら私はそう思えなかった。美味しい野菜も、パンも、プロフェッショナルから買った方がいいに決まっている。家具や生活雑貨も、そのときに必要なミニマムのものを購入し、買い替えていく方が気持ちも楽だ…。ずっとそう考えていた。

生活に必死で、目指すライフスタイルなど手に入らないと思っていた20代30代を経て、40代。時代が私に追いついた。身近な人は誰も「好きなところで働くこと」に文句をいわないし、社会変化も追い風になっている。何より二拠点生活の選択肢はどんどん増えている!!

自由に羽ばたきたかった16歳の私には、「放浪の旅にはほど遠いけど、自由な暮らしと、書く仕事は手に入っているよ」と伝えたい。

これから

「これからどうするの」と聞かれることもある。決めていない。
ホテル暮らしは永遠には続かないし、私の気持ちだって変化する。

近い将来には、さまざまなパターンが想定される。

奈良の自宅を引き払って大阪に引っ越しちゃう?
やっぱり大阪にオフィスを借りる?
ホテル住まいを継続し、もっともっと田舎にベースを構える?

思い切って、田舎に小さな家を借りるというのもありかもしれない。そこには大きな本棚とソファーを置く。窓からは季節の移り変わりが見える家がいい。その部屋では仕事をしない。ボケーっと脳を遊ばせたり、自然の中を歩いたりする。野菜をいっぱい食べたり、梅酒を漬けたりする。

私には世話をしなければいけない存在はいない。
ペットを飼うことも考えていないし、家族をつくる気もない。

こんなに何にも縛られていないのに、やっぱり縛られてきたのだと思う。「家賃は安い方がいい」とか、「家事をしたくないなんて、いってはいけない」とか。

でも、家事を捨てたって、自分の命をケアすることはできる。便利なものをうまく使って、ルーティンワークとしての家事を捨てて生きることが、今の私の選択なだけだ。

「二拠点暮らし」は、字面ほどキラキラしているわけでもないし、人によって事情や気持ちはさまざまだと思う。

でもこんな生活が気軽にできる、いい時代がやってきている。

もし、「誰にも縛られていないのに、自分で自分を縛っている」人がいたら、思い切って1か月だけでもホテル住まいをしてみてほしい。

「人は4日分の洋服とパソコンで、日常生活を送れる」

何もかも捨てなくても、そう実感できるから。

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