昨年の話になりますが、私は、大阪府立大学で開催された公開講座を受講しました。講座名は「口からの健康法」。総合リハビリテーション学研究科 教授、小川由紀子先生の講座です。
長生きする時代になりました。平均寿命だけでなく健康寿命を延ばしましょう。そして、健康で長生きするためには、食べるという行為は非常に重要です。
こうした話を前置きに、誰でも簡単に実行できるお口の健康法を教えていただきました。
知っているようで知らない、食べるという行為
食べるという行為は、大きく3つ、取り込み、咀嚼(そしゃく)、嚥下(えんげ)、から成り立ちます。食道から胃に運ばれる運動は自覚がないので、ここでは触れずに進みます。
取り込みは、その食べ物を、どの大きさ、量で食べるかを認知し、実際に口の中に運ぶまでの行為です。
咀嚼は、口の中で食べ物を噛み砕いて、飲み込むための塊を形成するまでの行為です。噛み砕く時には、歯だけでなく、舌、口の中の上部分、歯がなければ歯茎や唇を使います。
嚥下は、ごっくん、と飲み込む行為です。食道が開き、瞬時に気管は塞がれます。
いつまでも自分の口で食べるためには、食べるという行為にかかわる部分を大切にする必要があります。つまり、口腔ケアを実践して、口の健康を維持することが大切になるのです。
口の健康は、唾液に始まり唾液で終わる
口の健康は、どうやって維持されるのでしょうか。
唾液を積極的に分泌させよう
食べ物は最低30回噛んでから飲み込もう、と言われています。
30回噛むと何がどうなるかご存知でしょうか。
答えは、唾液が十分に分泌されるようになる、です。
噛むという行為には、脳を活性化させる役割があります。ボケ防止に繋がります。そして、噛むことで分泌される唾液は、食べ物を小さくしたり、飲み込んだりする消化に役立ちます。さらに、口の中を清潔に維持する役割も担っています。
唾液は十分に分泌されている方が良いのです。私自身は、仕事中などにガムを噛んで分泌を促しています。しかし、ガムを噛めない人もおられるでしょう。そこで、唾液腺を刺激する方法をお知らせします。
唾液腺をやさしくマッサージしよう
唾液を分泌する腺は3つあります。①耳下腺、②顎下腺、③舌下腺です。
①耳下腺は、上の奥歯あたりにあります。手の指腹全体を使って軽く圧を加え、前方にくるりと回すと刺激されます。②顎下腺と③舌下腺は、親指を下あごに沿わせて、ぐっと押すと刺激されます。
唾液が分泌されることで、健康は保たれます。いつマッサージしてもいいのですが、食事前が、より効果的かも知れません。
舌の正しい位置を知ろう
舌は筋肉でできています。そして、舌には適正な位置があります。
舌先で、上前歯の裏側から手前にたどっていくと、へこんだ部分がわかるはずです。口を閉じて、舌全体がその部分にぴったりくっついている状態が適正な位置です。
しかし、舌の筋肉が弱くなると、舌は下がった状態になります。そうなると、舌の重さを支えられなくなり、口が開いてしまいます。
口が開くと口で呼吸をしてしまいがちになり、良い状態とは言えません。口の中が乾燥し、雑菌が繁殖しやすくなります。唾液の分泌量も少なくなります。
上でも書いたように、舌は筋肉で出来ています。そして、舌筋は簡単に鍛えることができるのです。舌を正しい位置に維持するための簡単な体操があります。
舌を鍛える体操は、健康はお口から(2)でお話ししたいと思います。
まとめ
今回は、公開講座で学んだ唾液の大切さをお伝えしました。
人生100年時代とうたわれるようになっていますが、平均寿命と健康寿命には差があります。厚生労働省が発表した2016年の「健康寿命」は、男性72.14歳、女性74.79歳でした。そして、2016年の平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年でした。
生活をする上で、食事は切っても切り離せません。最後まで美味しく食べて、最後まで健康に過ごせることを目指しましょう。そのためにも口腔ケアを習慣づけることは大切です。
そして、一番お伝えしたいことが、寿命は延びても老化のスタートは延びない、ということです。日々、老化は起こっています。老眼や閉経も立派な老化です。
個人的な話ですが、就寝時に仰向けだと口呼吸になっている、と気づきました。意識しないと筋力を保てない、と愕然としました。アラフィフのあなた、今日から口腔ケアも習慣づけてください。
健康はお口から(2)では、たった3分でできるお口の体操を紹介します。
引き続いてお読みください。